岩田健太郎「病院の待ち時間が長い根本原因」 諸悪の根源は「医者と患者の共犯」にある

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さらに、会社や学校によっては「証明書を出せ」とか言ってくる。そんなこと言っても、「インフルエンザではない証明」のほうはできっこないんです。検査が陰性でもインフルエンザかもしれないのだから。

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「インフルエンザ陰性の証明書とか意味ない、あれは単に医者の書類仕事を増やしてるだけだ」ということが広く理解されるようになり、「というか、そもそも鼻水を出してるだけの人が病院へ行くのは意味ないんじゃない」と理解してもらえるところまでいければ、世界一多い日本の外来の患者さんはもっと減って、医者はもっと他の仕事ができるようになるのに。

よく「3時間待ちの3分診療」みたいな言葉で医者の診察が非難されますが、あれはたしかに半分は医者のせいですけど、半分は患者さんのせいですよ。患者さんが殺到するから3時間待ちになるのであって、来なくていい人が来なければ待ち時間は減るんだから。

あと「無駄な検査を減らす」など病院側にできることもありますが、「なんで俺がこんなに待たされるんだ」と言ってる、その患者さんが他の人の待ち時間の一部になっていることにも想像を及ばせたほうがいい。

「医者と患者の共犯」がもたらした問題

だから待ち時間問題は、医者と患者の共犯がもたらした問題なんです。患者さんの「不安を解消したい」という欲望が、待ち時間という患者さんの苦労の原因になっているのです。

ちなみに、神戸大学病院は完全予約制にしていて、アポなしの受診は予約診察が全て終わるまで待ってもらっています。緊急事態は別ですけれどね。

11時に予約を取ってる人は11時に診るのが常識です。11時の予約なのに15時まで待たされるなんて、例えば美容院でそんなことをされたら二度と行きたくないですよね。世の中で、予約時間を破って待たせても平気な顔をしているのは病院だけですよ。

岩田 健太郎 神戸大学教授

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いわた けんたろう / Kentaro Iwata

1971年、島根県生まれ。神戸大学大学院医学研究科・微生物感染症学講座感染治療学分野教授。神戸大学都市安全研究センター教授。ニューヨークで炭疽菌テロ、北京でSARS流行時、またアフリカではエボラ出血熱の臨床を経験。帰国後は亀田総合病院(千葉県)に勤務。感染症内科部長、同総合診療・感染症科部長を歴任する。著書に『「感染症パニック」を防げ! ?リスク・コミュニケーション入門』『予防接種は「効く」のか?』『1秒もムダに生きない』(以上が光文社新書))など著書多数。

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