「子供とずっと一緒で辛い」人が忘れていること 米国製エリートが学ぶ「幸福の授業」の教え

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私はそのセラピストに、彼にとって愛とは何か尋ねた。彼は、自分で築いた人生を、他の人のために捨ててもかまわないという気持ちだという。

どういう意味かよくわからないかもしれないので、私の話をしてみよう。

33歳のときの私は、妻にカーラジオの局を変えさせることさえしなかった。ましてや妻のために自分の人生を変えることなどとんでもないことだった。つまり完全な自己中心主義だ。

そのセラピストの考え方に照らすと、私は本当の意味で人を愛したことがなかったのだ。

しかし子どもができてそれがすっかり変わった。無意識に、そして自ら進んで、自分たちの人生をいったん保留にして、子どもを中心とした生活にシフトした。それは私には少し時間がかかった(何しろひどい自己中心主義者だったので)。

赤ん坊は手に負えない生き物だ。しかしゆっくりと本能のスイッチが入り、やがて週末はサッカーの試合、誕生日パーティー、『怪盗グルーのミニオン大脱走』などで過ぎていくようになった。

友人たちとのブランチ、テレビ、休日にゆっくり寝るのはすばらしい。しかし人生についてのほとんどの疑問に「子どもにとっていちばんいいことをする」という、決まった答えがあるのは安心感がある。

子どもがいない人も、他人を思いやり優しく接するとき、同じ恵みに浴している。

愛情表現を取り戻せ

あるウェブサイトの記事で、マーク・グリーンがこう書いている。男は愛情表現を奪われていて、それはすべての人を傷つけると。

少年時代、私は愛情表現とはセックスするための手段か、ホモセクシュアリティの合図だと刷り込まれていた。つまり私が育った時代と土地では、それは悪いことだったのだ。

よからぬ性的な動機や同性愛と結びつけられていたため、触れ合いは信用されず、男たちはそのような愛情表現を奪われてきた。友情、やさしさ、そして愛を伝える表現として認められなかった。

触れ合いは本当に、人間のコミュニケーョン、絆、健康に不可欠である……触れ合いは脳の眼窩前頭皮質を活性化させるが、その部位は満足感や同情と結びついている……触れ合いは安全、信頼を伝えるもので、人を落ち着かせる――ダッカー・ケルトナー カリフォルニア大学バークレー校心理学教授
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