「腐った肉が我慢ならない」感性は絶対重要な訳

白井聡が説く「資本制社会の外部」の必要性

特殊な戦後日本の対米従属構造を支えてきた「主体」とは何か(写真:AP/アフロ)  
戦後日本の統治構造を分析したベストセラー『永続敗戦論』や『国体論』で知られる若き論客で政治学者の白井聡氏。しかし、そもそも研究者としてのスタートはロシア革命の指導者レーニンの研究だった。
このほど上梓された『武器としての「資本論」』は、著者の白井氏にとって「原点回帰」ともいえる。なぜ今、『資本論』なのか。その「必然性」を読み解く。

目の前にある世界とは「別の原理」で動く世界

白井氏の新著『武器としての「資本論」』は、その名のとおり、マルクスの資本論を取り上げたものである。

『武器としての「資本論」』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

『永続敗戦論 戦後日本の核心』(講談社+α文庫)や『国体論 菊と星条旗』(集英社新書)で論壇を席巻した白井氏が、今度は資本論に挑戦するのか――。そう思った読者もいるかもしれない。

しかし、白井氏のキャリアはもともとレーニンの研究から始まっている。最初の著書『未完のレーニン 〈力〉の思想を読む』(講談社選書メチエ)は、レーニン研究者やソ連に関心のある人は必読の書である。そういう意味では、今回の新著は原点回帰と言ったほうがいい。もちろん単に原点に回帰したわけではない。自らの議論を1歩進めるための原点回帰である。

白井氏が『未完のレーニン』で強調したのは、「外部」の存在であった。レーニンのテキストを読み解き、レーニンが現にある世界とは別の原理で動く世界、すなわち資本主義社会の「外部」の世界をどうやって切り開いたかを鮮やかに描き出した。

この姿勢は『永続敗戦論』や『国体論』でも一貫している。『永続敗戦論』では戦後日本の異様な対米従属構造が明らかにされた。

しばしば誤解されているが、白井氏は対米従属そのものを批判しているのではない。アメリカに従属している国は世界中にいくらでも存在する。

しかし、「思いやり予算」や「トモダチ作戦」といった過剰に情緒的な言葉で対米関係を語り、いかにアメリカが自分たちを愛してくれているかをアピールする国は日本だけである。

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