「国体化」した対米従属が日本を蝕んでいる 米国は日本を愛しているという妄想

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現在の日本の体制は、「米国は日本を愛している」という妄想のもとに成り立っている?(写真:Jonathan Ernst/ロイター)
自発的な対米従属を続ける、世界に類のない不思議の国・日本。この呪縛を解くカギは国体にあるという。『国体論』を書いた京都精華大学人文学部専任講師の白井聡氏に詳しく聞いた。

日本の行き詰まった状況を説明

──なぜ今、国体論なのですか。

今の日本の行き詰まった状況を首尾一貫して説明しうる、最有力の概念が国体なのだと考えている。

失われた20年あるいは30年といわれるように、日本が長い停滞から抜け出せないのは、なぜなのか。「国体化」した対米従属が社会をむしばんでいるからだ。世界に類を見ない歪(いびつ)な形で、つまりその支配の事実を否認しつつ対米従属をしていることが、社会を腐らせた。

──米国に妄想を抱きつつですか。

米国は日本を愛しているとの妄想に戦後日本の体制は依存している。それは、言葉遣いに端的に表れる。代表的なのがトモダチ作戦や思いやり予算。情緒的な言葉遣いが日米関係の公的な場でも多用される。日米関係は特別であり、打算的な関係で仲よくしているのではなく、真の友情に基づいているとのイメージをまき散らす。

──「米国崇拝」と「天皇崇敬」に相似性があると。

「戦前の国体」における天皇と臣民の関係に、日米関係が似てきた。大日本帝国においては、神の子孫である天皇が国民を赤子として慈しみ、愛してくれている、何とありがたいことか、だから天皇陛下のために死ぬのは当然であり、日本人の幸福だ、という「世界観」が国民に強制されていた。

──それが「戦前の国体=天皇」から「戦後の国体=米国」へ移行したのですか。

「戦前の国体」は1945年の敗戦で壊されながらも、米国を頂点にする「戦後の国体」として再建された。日本は米国の懐に抱かれているというイメージが形作られ、世界に類を見ない日本の対米従属の特殊性が生まれた。愛されているという妄想に基づいて米国に従属している国は日本以外にない。

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