BCGの母が“ひねり出す”新しい「昇進」 全員が役員を目指す職場で、どう生きていく?

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母になっても、昇進は「使命」

そして、塚原さんは、2010年には「プリンシパル」に昇進した。だが、この栄転には「紆余曲折があった」と言う。

「海外オフィスには『時短リーダー』がさらに上に昇進するような事例はいくらでもありましたが、仕事と育児の両立環境は国によりさまざまで、海外のやり方が日本でそのまま使えるとはかぎりません」

塚原さんは、「育児優先」のライフスタイルを継続したかった。そこで、上司にこう相談したと言う。

「私は子育てを中心に考えたいので、時短勤務を続けていきたい。限られた時間の中で、どうやって昇進を目指していったらいいでしょうか。」――。

上司は「昇進を見据えて、サステイナブルに続けられるやり方を一緒に探そう」と言ってくれたそうだ。海外オフィスでの実例を踏まえつつ、新たなやり方を会社と一緒に模索していった。

ところで、このくだりを読んで、読者の方は、塚原さんがなぜそこまで昇進にこだわるのかが理解できないかもしれない。

そこで、筆者が当時の塚原さんの置かれた状況を補足したい。本原稿の最初に書いたとおり、外資系戦略コンサルティング会社では、つねに自身が成長していくことを求められる。一定の成長がないと、仕事が割り振られなくなり、結果的に職場にいづらくなるとも言われる。それは、クライアントに確実な価値を提供し続けるためだという。

したがって塚原さんも、いつまでも「プロジェクト・リーダー」にとどまることはできない。この仕事を続けるかぎり、昇進することは避けられない壁だったのだ。

「私がニューヨークオフィスにいたときは、先に言ったとおり、短時間勤務の『時短パートナー』もいたし、仕事の80%は管理部門で働き、残りの20%はその人を指名するクライアントのためにコンサルタントとして働く『役割分担型パートナー』もいたりと、いろいろなやり方がすでに存在していました。

ただし、海外とは、育児と仕事の両立環境は異なり、結果、私の仕事への時間の使い方も、BCGの海外の育児をしている同僚たちとは異なります。私からもニューヨーク時代に知った海外の時短勤務のパートナーの事例を紹介するなどし、上司たちは海外のやり方を研究してくました。そして、私のような働き方をする場合に昇進するために必要な能力を定義してくれました」

結果、塚原さんは、昇進の能力は十分にあると判断され、無事プリンシパルに昇進することができた。

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