「2人とも深夜まで働く仕事の虫で、気が合いましたね。結婚当時、夫は日本に住んでいたため、1年近く遠距離結婚をすることになりました」
もうひとつの転機は、プロジェクト・リーダーに昇進したことだ。同職は、プロジェクト全体の設計をし、メンバーのコンサルタントをマネージしながら、クライアントに対して約束した価値を出すという重要な責務を担う。
9カ月のニューヨーク勤務を経て、東京オフィスに戻り、早速、リーダーとしての仕事に邁進していると、今度は塚原さんの人生で最大の転機がやってきた。第1子の妊娠だ。
「BCG全体では、育児と両立しながら仕事を続ける事例はいくつもありました。東京オフィスでも、多くはありませんでしたがすでにあり、やり方もその人や家族に合わせてそれぞれでした。だから私も、辞める気などさらさらなく、『生まれてから、自分なりのやり方を考えればいい』とノンビリしたものでした」
幸いつわりもなかったため、出産2カ月前まで働き、半年間の産休・育休を経て、2007年の5月に復帰した。
リーダー職のワークシェアリング!
前と同じプロジェクト・リーダー職に復職したが、想像以上に厳しい「両立生活」に直面したと言う。
「10時から4時までの時短勤務で、通常勤務の60%分働きますとお約束して復職しました。でも、短時間勤務のプロジェクト・リーダーは日本では前例も少なく、短時間で通常勤務と同じように働けるとはかぎらない。そこで、上司は、もうひとり『バックアップのリーダー』をつけてくれました」
つまりは、リーダー職のワークシェアリングだ。基本的には、塚原さんが担当プロジェクトの遂行責任を持つ。ただし、塚原さんの勤務時間外に、メンバーがプロジェクト・リーダーに直接相談したかったり、判断を仰ぎたかったりすることはよくある。その場合は、別のプロジェクトを受け持つ『バックアップのリーダー』が、塚原さんの代わりに相談にのり、時には判断もする。両リーダーが、当該プロジェクトの情報共有を完璧にしておけば、メンバーも戸惑うことなく、滞りなくプロジェクトを進めることができる。
ちなみに筆者は、ある大学教授から、「アメリカでは、リーダー職のワークシェアリングはもはや当たり前になっている」と聞いたことがある。
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