つねに上へ、上へ――。絶えず成長が求められる外資系戦略コンサルティング会社は、サバイブするのが厳しい実力社会だといわれる
ボストン コンサルティング グループ(BCG)の塚原月子さんは、そんなハードな環境の中で、3人の子どもを産み育てながら、プリンシパル(役員の下のマネージャークラス)にまで上った人だ。
しかも、2007年に第1子を出産した以降は、基本、10時から4時までの「時短勤務」を続け、両親の援助に極力頼らずに、子育てを実践する。
それができた背景には、塚原さんとBCGが手探りで“開発”した「柔軟な働き方」があった。
運輸省の官僚から、転身
塚原さんは、運輸省(現・国土交通省)のキャリア官僚出身だ。1995年の入省以来、国際業務の担当として、日本の海運業界や港湾行政の業界慣行を改善しつつ、アメリカと協議するなど、重要な任務の一翼を担ってきた。
「同期の官僚で女性は、私ともうひとりだけ。でも、女性だからといって特別扱いされることもなく、私自身、世の中全体に影響を与える仕事にやりがいを感じていました。海外との交渉の仕事は時差に振り回されるため、会議室で仮眠を取ながら朝7時まで働き、一度家に帰ってシャワーだけ浴びて9時に出勤するなんて、しょっちゅうでしたが、苦になりませんでした」
転機となったのは、27歳のとき、人事院の試験にパスし、ダートマス大学(米国)にMBA留学したことだ。
「国からの派遣で留学させてもらったので、当然、役所に戻るつもりでした。BCGのことは、留学先でたまたま知りました」
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