幼児からの超英才教育「意外な落とし穴」の正体

成功者は早くから専門特化した人だけじゃない

理想は「タイガー・ウッズ型?」それとも「フェデラー型?」(写真:sasaki106/PIXTA)
コロナウイルスの世界的な流行に伴う混乱でもわかるように、現代はますます複雑さと不確実性を増している。それを反映するように、ビジネスでも、研究開発でも、スポーツでも、分野を狭い範囲に絞って深掘りする「超専門化」がもてはやされている。
これに警鐘を鳴らすのが、『RANGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』の著者、デイビッド・エプスタイン氏。数々の事例や調査研究をもとに知識や経験の「幅(レンジ)」が今こそ重要であることを解き明かした本書の一部を抜粋のうえ、再編集して3回にわたってお届けする。

真似すると危険?「タイガー・ウッズ型」英才教育

「この子はほかの子とは違う」

プロゴルファー、タイガー・ウッズの父親は息子を見て思った。

生後7カ月になると、歩行器で歩くときには、おもちゃに与えたパターをどこにでも引きずっていった。そして10カ月で、子ども用ハイチェアから自分でおりては、短くしたゴルフクラブを目指して歩き、ガレージでスイングのまねをした。まだしゃべれなかったので、父親は絵を描いて、クラブをどう持つかを教えた。「小さくて話ができない頃には、パットの仕方を教えるのが難しかったよ」と、父親はのちに語った。

2歳になると、全国放送のテレビに出演して、自分の肩くらいまであるクラブを使ってボールを打った。時間をムダにしている暇はなかった。3歳になる頃には、バンカーショットの練習をさせた。父親は将来の計画を立て始めた。「この子はゴルフのために生まれてきた。息子を導くのは自分の務めだ」。その年、カリフォルニアのゴルフコース(9ホール)をスコア48、11オーバーで回った。

4歳になると、父親はタイガーを朝9時にゴルフコースまで送り、8時間後に迎えにいった。すると、息子は誰かに勝ってお金を稼いでいることもあった。8歳のとき、息子は初めて父親に勝った。スタンフォード大学に進学する頃にはすでに有名になっており、父親は息子の新たな存在意義を見いだした。「この子が、選ばれた人間であることは確かだ」。

2人目の人物は、ウッズとは対照的な道を歩んで、テニス界のトップに上り詰めた。

プロテニスプレーヤー、ロジャー・フェデラーだ。母親はテニスのコーチだったが、教えてもらったことはなかった。歩き始める頃にはボールを蹴るようになり、少し成長すると、日曜日には父親とスカッシュをした。スキーやレスリング、水泳、スケートボードもして遊んだ。ほかにも、バスケットボールやハンドボール、テニス、卓球のほか、近所の家のフェンスをネット代わりにバドミントンもやり、学校ではサッカーに熱中した。

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