必要なのは半歩ずつの歩み寄り、人との違いを意識することが第一歩--ダイバーシティ最前線・パナソニック電工
多様な人材を活用するダイバーシティ経営。ダイバーシティ経営に対する先進的な取り組みで知られるのが住設建材・電子機器大手のパナソニック電工だ。東洋経済が主催する「第2回ダイバーシティ経営大賞」での大賞(→資料)をはじめ、ここ数年、同様の賞をいくつも受賞。
東洋経済によるCSR格付け(→詳細はこちら)では、人材活用・環境・企業統治・社会性の4項目すべて5段階評価で最高の「AAA」。4項目それぞれ、「AAA」の会社は1割強しかなく、日本有数のCSR先進企業でもある。
このパナソニック電工でダイバーシティ推進を担当者として2009年9月まで進めてきたのが、元ダイバーシティ推進室勤務で現在は広報部の川原理恵子さんだ。彼女のキャリアの歩みは同社のダイバーシティの進歩と重なる部分が多い。両者を合わせてみることでダイバーシティ成功の秘訣を探ってみた。
「10年後にこのまま同じ仕事を楽しくしている自分が想像できませんでした」
川原さんは1995年に異動や転勤がないローカル社員(通常の一般職)として入社。結婚後、01年に出産し、産休、育休を経て職場復帰していた03年ごろを振り返る。
当時のローカル社員は出産や結婚で辞めることが一般的。産休後に会社に戻ったものの、「退職して子育てに専念する」という道を本気で考えていた。ところが、そのことを上司に相談したことが転機となった。
会社は03年に、社員に等しくチャンスを与えて組織を活性化するため、職種変更制度を作った。上司はこの変更試験に挑戦するよう勧めてくれた。より幅広い仕事ができる可能性に魅力を感じた川原さんは試験を受けることに。筆記試験と面接試験に合格し、企画判断職(総合職に相当)となった。