オラクル、業界別取り組み強化、企業革新支援 「オラクルインダストリーコネクト」現地レポート(1)
なぜスプリントは、復活できたのか
午後のセッションで登壇したのが、スプリント社のダン・ヘッセCEOだ。昨年7月の、ソフトバンクによる子会社化の記憶も鮮明な、米国3位の携帯電話会社のトップだ。
講演では、ヘッセ氏のAT&Tを中心としたキャリアを振り返る格好で、1Gから4Gへという通信の歴史を辿 りつつ、いま何に取り組んでいるかを語った。
たとえば、78年からAT&Tで取り組んだ「800」というサービスでは、急成長したものの、インターネットの台頭でカニバることになったともいう。また、3Gの変革について、iPhoneの前にはいろいろなスマホがあり、特にブラックベリーが主流だったが、動画の時代になると魅力を失ったと分析。今は「1つのデバイスでいろいろな用途に使いたい時代に入った」と説明した。
同氏は8T8R、MIMO、スプリントスパーク、ハイディフィニションボイスなどスプリントのもつユニークなサービスの優位性も強調した。そして、足元の好調の前には極度の不振の時代があったことも淡々と振り返った。ソフトバンクによる買収報道もあり、株価は急騰、12~13年の株式に対するリターンは一番高く、2位のネッ トフリックスを上回ったというが、それ以前は「倒産しかけていた」(ヘッセCEO)。
では、倒産の危機から急回復した理由は何かーー。まず「一つは低い水準から始めること」と冗談のように語った後、「2007年のクリスマスに就任したときは、破産の話ばかり。みな恐怖を覚えるほど、ものすごい速いペースで落ち込んでいた」と自らのトップ就任当時を振り返った。
いよいよ危機に陥った時、「何をしなければいけないか、優先順位を決めた」という。そこで重視したのが、カスタマーサービス、ブランド、そしてキャッシュだった。そもそも、どうして危機が訪れたのだろうか。それは、ネクステルと合併したものの、期待したような成果が出なかったから、という。では、なぜ成果があがらなかったのか。対等の合併はうまくいかないことが多いものだ。 そもそも文化が分かれていたことにも起因していたという。ネクステルは、イノベーションはあるが資源がない。一方、スプリントは飛躍的に成長した会社だった。
そこで、カスタマーサービスに力を入れたという。では、具体的に何をしたか。「顧客の文句の度合いに比例して報酬を決めた。文句が減れば報酬をあげ、顧客の満足を第一にした。そして、全員が一つの会社として行動できる文化にした」(ヘッセCEO)という。
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