オラクル、業界別取り組み強化、企業革新支援 「オラクルインダストリーコネクト」現地レポート(1)

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企業のIT投資は、メンテナンス偏重

「世界のGDPはいま71兆ドル。このうちITの金額はいくらかというと、2兆ドルしかない。しかし、 ITがなければ、飛行機の切符も買えないし、株の取引もできない。規模は小さいが、致命的になる。しかも、その2兆ドルのなかで、企業向けは半分のみだ。かつては8割を超えていたのに、いまは個人向けが1兆ドルに膨らんでいる。しかも、企業向けの82%がメンテナンスに取られている。つまり、わずか18%(=約1800億ドル)しかイノベーションに回っていない」というのだ。

「メンテナンスにこれほどの比率が割かれていることは問題ではないか」というのだ。特にアプリケーションの平均年齢は20歳という。20年前というと、「ウィンドウズ95」の登場でインターネットが一気に普及した1995年よりも前の時代だ。そんなインターネットもいまほど一般的でなかった古い時代のアプリケーションが、いまだに使い続けられているという。そうした「レガシー」を動かし続けるために、イノベーションには「ほんの少しのおカネしか費やされていない」というのだ。

そこで、オラクルでは産業ごとにフォーカスし、「その企業が抱えている、もっとも困難なもの」の克服や、「イノベーションにつながるもの」にこそ、挑戦したいという。「業界に特化したサービスを進めたい。それもレーザーのようにシャープに」(ハード社長)。顧客の必要としているものを提供することで、この分野の成長を図るというのだ。講演後には「営業をまとめてしまうと、埋もれてしまうものがある」(同)と、顧客業界別に組織をつくっている狙いも語った。

この基調講演の中で、ハード社長に続いて登壇したのが、ハーバードビジネスクスールの元教授で、GEやマイクロソフト、ステートストリートなどで社外取締役を務めたというジェームズ・キャッシュ氏。成長性、継続性、運営面の効率性、戦略形成の4つの観点でみることの重要性を説いた。

キャッシュ氏は、継続性が十分でない銀行が、IT投資を行い効率もあがっていたものの、経営継続のための投資を行わなかったために倒産してしまった事例をあげた。それを避けるためには「未来を予測 することが必要」という。「戦略形成がうまくいかず、詳細な技術的分析が行われない企業も、『倒産リスト』にのることになる」と刺激的だった。

いずれにしても、効率ばかりを求めていては、当然成長にはつながらない。IT投資をイノベーションのために使ってほしいメッセージが前面に出た、初日の基調講演となった。

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