自転車ロードレースと組織で働く社員の共通点 映画「栄光のマイヨジョーヌ」に学ぶ組織の形
「オール・フォー・ワン(全員は1人のために)」。ラグビーでは「ワン・フォー・オール」(1人は全員のために)という言葉と共に使われているが、自転車競技、特に公道の中で着順を競い合うロードレースの世界では、当たり前のように使われている言葉だ。
現在公開中の映画『栄光のマイヨジョーヌ』は、オーストラリアのプロサイクリングチーム「グリーンエッジ」(現在のチーム名はミッチェルトン・スコット)の創設から5年間の活動を描いたドキュメンタリー作品。ロードレースをよく知らない一般の観客も増えているという。
その原題は、『ALL FOR ONE』だ。この映画は、そうしたロードレースの特徴である「チーム」に焦点を当てている点が大きな特徴となっている。
そもそもなぜ「チーム」なのか。それは、自転車ロードレースは、個人の勝利が結果として残るが、その結果を出すためにはチームで戦わなければならないからだ。
「ALL FOR ONE」がロードレースのキーワード
自転車競技の場合、「空気抵抗」が大きな要素になっている。スピードが出れば出るほど、空気抵抗が強くなり、風を切って前に進むためには、大きなパワーを必要とする。さらにロードレースの場合は長い距離を走らないといけないため、単独で風を切って走っていると体力を消耗してしまう。
一方、そんな風を切って走る選手の背後について走ると、空気抵抗を受けず走ることができ、体力を温存できる。集団で走るロードレースの光景を映像などで見ることがあると思うが、それは集団の中にいれば、空気抵抗を受けずに体力を温存できるからだ。
しかし、ひとりの力だけで勝負どころまで体力を温存し、いわゆる「足をためる」ことは容易ではない。そのためには、チームの力が必要になってくる。
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