自転車ロードレースと組織で働く社員の共通点 映画「栄光のマイヨジョーヌ」に学ぶ組織の形

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ロードレースの場合、オリンピックや世界選手権といったレースを除けば、チーム単位の出場が基本となる。1チームあたり出場選手数はレースによって異なり、4人や5人の場合もあれば7、8人出場できることもある。世界最高峰の自転車ロードレース「ツール・ド・フランス」の場合、1チーム8人の出場が認められている。

ツール・ド・フランスで、首位の選手のみが着用を許される「マイヨジョーヌ」(左選手のジャージ)を一度でも着用するのがロードレース選手の夢である ©2017 Madman Production Company Pty Ltd

チームは、選手の中から一番勝つ確率が高い選手を「エース」に指名し、他の選手はエースの勝利のためにあらゆるアシストをする。1人を勝たせるために他の選手は犠牲になっているという言い方もできる。

「ロードレースの魅力は、まさに個人で結果を争ってはいるが、実は団体競技という点。そこにさまざまなストーリーがあり、人間ドラマが生まれる。身を粉にしてエースのために走るというのは、ほかにはない美しい競技だと思う」と語るのは、スポーツジャーナリストで、数多くのロードレースの実況・解説を務める別府始氏だ。

成績表には勝った選手の名前しか残らないが、その結果を実現するために選手だけでなく、チームに携わる監督やコーチ、メカニック、マッサージャーなどの支えがある。

成績だけでなく「アシストの働き」を評価

選手は単なる成績の結果だけでなく、いかにエースやチームを勝たせるための貢献をしたかという点が評価される。例えば、積極的に前に出て、他チームの選手の体力を奪う動きをしたり、勝負どころに入る前までにエースを勝負しやすいポジションに引き上げるといった行動だ。

「結果を出すためには、ほかの選手がアシストをしないといけないので評価の対象になっている。アシストの能力で契約がきまるし、そもそも『俺が俺が』の選手ばかりでは、チームが空中崩壊してしまう。チームづくりも重要な要素」(別府氏)。チームのメンバー構成もエース役とアシスト役のバランスが大事になる。選手のほうも、こうしたエースとアシストの役割を若い頃から教えられ、しっかりと理解しているという。

「プロ選手は、アマチュアのエース経験者ばかりが集まるため、プロに入って初めてアシストに回る経験をする。そこに心境の変化があるが、自己主張ばかりでアシストの仕事ができないとプロにはなれない」(別府氏)

映画では、そうしたチームのあり方や、エースとアシストの役割の「いい見本」を、5年間の密着映像を基に描き出している。

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