2位はエイベックスで20.0時間減、2013年度の40時間から半減している。コアタイムを設けず、月の所定労働時間内で各社員が計画を立てて自由に働けるフレックスタイム制度や、インターネット等を活用し場所や時間にとらわれず柔軟に働ける在宅勤務制度など、クリエイティブな才能が必要な音楽業界の企業ならではの制度が整備されている。
3位は日本郵船で18.5時間減。38.4時間から19.9時間と48.2%減少させている。朝型勤務の推奨、週2回の早帰り日の設定など、メリハリをつけた勤務を奨励している。
4位は前田建設工業(18.4時間減、以下同)。一般に残業が多いとされる業界でノー残業デーやフレックスタイム制度などの導入で残業時間を大きく減らしている。
以下、5位ベネッセホールディングス(17.5時間減)、6位NISSHA(16.8時間減)、7位野村不動産ホールディングス(16.7時間減)、8位エイチ・アイ・エス(16.5時間減)、9位伊藤忠商事(16.4時間減)、10位Zホールディングス(16.1時間減)と続く。
ボランティアや副業を容認・推奨する企業が増加
ランキング対象537社のうち5年間で残業時間が減ったのは261社。逆に増加は272社と半数を超えた(ほかに増減ゼロが4社)。平均値では2013年度18.6時間(697社)に対して2018年度18.6時間(828社)とまったく同じだった。
これだけ見ると残業削減の効果が出ていないようにも感じられる。しかし、この5年で回答社数は増加し、残業時間が多い企業も含まれるようになった。さらに働き方改革の流れで厳密に残業時間を把握するようになり、回答の精度も上がっている。全体としては残業削減の動きは高まっていることは間違いない。
世の中の残業削減の動きでプライベートの時間は増えていく。今後はこの時間をどう活用していくかが自らのキャリアを作るうえで重要になってくる。
これまでは会社を中心に成長を考えていた人が多かったが、個人の成長の場は職場以外にも社会人大学、NPO、さまざまな勉強会、PTAや地域の町内会など多くある。こうした複数の組織に所属し、会社以外の人たちと関わりながら、成長していくという社会になりつつある。
各企業も「職場だけで社員は育てられない」という認識が生まれ始めており、社外での活動を推奨する動きが出ている。「東洋経済CSR調査」(2019年)の結果を見ても、ボランティア休暇制度がある企業は40.3%(453社)に達し、副業兼業許可制度を設けている企業は、25.4%(257社)にのぼる。
ただ、忘れてはいけないのは、個人が成長するために必要な時間に変わりはないということ。成長を求めていくと、会社から早く帰っても、他の所属先の活動で結局は忙しい生活になるかもしれない。そういう社会になりつつあることを認識しながら、どのような会社が自分に合うかじっくり考えていくとよいだろう。
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