「共働き」でも上手に中学受験を乗り越える策 春のスタートダッシュをどうかければいいか

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西村氏は著書の中で『(中学受験の)合否を決めるのは、子どもの持つ潜在的なポテンシャルが1割、残りは親の仕事なのです』と指摘する。

東京を中心とする大手塾では、やる気のない子どものモチベーションをアップさせたり、できない子どもをサポートしたりすることはあまりしない。塾は難関校の入学試験を分析し、それを解けるようになるためのカリキュラムと大量の練習問題を提供する場なのだ。子どもの学習方針の決定やスケジュール管理、メンタルとフィジカルのサポートは、すべて親にかかってくる。

とくに共働きの場合は親の時間もタイトになりそうだが、共働きでも中学受験を戦い抜けるのだろうか。

「あくまでも今まで私が家庭教師として担当してきた範囲ですが、専業主婦の家庭の子どものほうが、成績がいいケースが多いですね。共働き家庭は子どもの受験をサポートするための時間が、どうしても少なくなりがちですから」(西村氏)

文部科学省の調査でも…

実際に専業主婦のいる家庭の子どものほうが、学力的に優れているというデータもある。2017年度の文部科学省の『全国学力・学習状況調査』に付随した「保護者アンケート」だ。

「父親/母親の帰宅時間と子供の学力との関係」の小学校6年生の子どもの項目を見てみると、父親の帰宅時間は選択肢の中でいちばん遅い「22時以降(早朝帰宅を含む)」の家庭の子どもの学力が最も高かった。一方、母親の帰宅時間を見てみると「就業していない」家庭の子どもの学力が最も高かった。つまり、父親は遅くまで働き、母親は働いていない家庭の子どもの学力が高いということだ。

これは父親が家にいないほうがよいというわけではなく、仕事が忙しい高収入の父親と専業主婦の家庭が学習環境として優れていることを表していそうだ。つまり所得にも時間にも余裕がある家庭だろう。東京大学の理科三類に4人の子どもを入学させたカリスマ主婦、佐藤亮子氏一家のような家庭モデルが思い浮かぶ。

では、共働きの家庭はどうしたらいいのだろうか? 西村氏は「共働き家庭ならではの取り組み方もある」という。

「基本的に専業主婦のいる家庭は有利ですが、陥りがちな失敗もあります。時間がある分情報過多になって、あれもこれもと学習させすぎてしまうのです。一方で共働き家庭は時間が限られている分、効率よく学ばせようという気持ちが強い。大手学習塾のカリキュラムは、どこもしっかりと練られていて盤石です。それをいかに身に付けさせられるかがカギ。

デキる親は、学習すべき内容の全体像をつかんで、子どもが無駄なく学習できるようにマネジメントしていますね。共働き家庭でも、マネジメントが上手な親御さんなら、お子さんはかえって自分が頑張らなければという気持ちになります」(西村氏)

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