「会議を仕切っただけ」で満足する上司の迷惑さ 彼らの自己評価が高くなるやむをえない事情

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アメリカの大学進学適性試験「SAT」の受験者を対象に、リーダーシップスキル、他人とうまく付き合う能力などについて自己評価してもらったところ、他人とうまく付き合う能力に関しては受験生の85%が「自分は平均より上」と回答しました。さらに、「上位1%に入る」と回答した受験生は、なんと25%です。

ネブラスカ大学の教員を対象にした調査でも同様の傾向が見られ、自分の教える能力について「平均より上」と答えた教員は全体の90%以上になり、「上位25%に入る」と答えた人も68%に上りました。

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イギリスで受刑者を対象に行われた調査でも同様の傾向が示されています。暴行や強盗で有罪になった受刑者に自分の性格を自己評価してもらったところ、優しさ・寛容さ・自制心・倫理観・そして順法精神といった項目で「ほかの受刑者と比べて自分は平均より上」であると答えました。

さらに興味深いのが、同じ受刑者ではなく、一般の人と比べたときの答えです。受刑者の大半は、先ほど挙げた項目のほとんどで「それでも自分は平均より上」と答えました。唯一の例外は順法精神で、これは「一般の人たちと同じレベル」という評価になりました。

この傾向は、ミーティングにおいても見て取れます。私や同僚が行った複数の調査でも、ミーティングのリーダーはほかの出席者よりもミーティングそのものに高い点数をつけるという結果が出ています。つまり、同じミーティングに出席しても、リーダーとそれ以外の人では、ミーティングの印象がまったく異なるということです。リーダーは「とても有益だった」と思っていても、それ以外の出席者は「無駄だった」と思っている可能性があるのです。

ミーティングの満足度に関する北京大学のソフィー・トン教授と私が共同で行った調査では、「ミーティングへの参加度と、ミーティングへの満足感は比例する」という結果になりました。つまり言い換えると、単純に「ミーティングで自分がたくさん発言するほど、満足度は高くなる」ということです。

自分がミスリードしていることにはなかなか気づくことはできません。この点を踏まえると、悪いミーティングの実態をつかめるような「客観的なポイント」を抑えておく必要があります。

・出席者が「スマホ」を見てほかの作業をしている
・出席者が「関係のない雑談」をよくする
・ほぼ「あなたばかり」発言している
・1人か2人の出席者が発言を独占している
・人の意見に反対できないような「空気感」がある

このいずれかに心あたりがある場合、そのミーティングはうまくいっていないと思ったほうがいいでしょう。こういったサインは、出席者からのフィードバックとして考えるべきです。そしてフィードバックを受け取ったのなら、それを変化のきっかけにしなければなりません。

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