「会議を仕切っただけ」で満足する上司の迷惑さ 彼らの自己評価が高くなるやむをえない事情

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年齢や職業に関係なく、人間が自分を過大評価する生き物であることはすでに証明された事実です。ですから、「自分は自分の能力を正しく評価できていない」ことを受け入れて、それに沿った対策を講じることが重要です。

わかりやすいところでいくと、「発言量のコントロール」です。発言量が多いほど会議への評価が高くなるのですから、自分の発言は抑えて、できるだけ出席者に発言させるように注力したほうがよさそうです。

そのためには、「反対意見が言いやすい環境」を作る必要があります。具体的には「このアイデアに何か問題はあると思う?」といった言葉で「アイデアへの反論を促す言葉がけ」を行い、健全な議論が促されるようにします。そして、反対意見や異なる意見を出してくれた人に感謝するなどして、ディベートを歓迎する空気を作りましょう。

ほかにも、「言いたいことがありそうな人」を見つけたら、必ず発言を促すようにしてメンバーが発言しやすい環境を作ることも可能です。ミーティングを仕切る場面が来たなら、必要なのは「自分が引っ張らないと」という意気込みではありません。

ミーティング中の会話を独占し、自分ばかりが発言するのは、人の上に立つことに快感を覚えるタイプの典型的な特徴といえます。「自分の姿は自分ではわからない」ことを頭に置き、会議室を広く見渡す意識を持ってミーティングに臨むべきなのです。

「チームプレー」とは言うけれど……

『SUPER MTG スーパー・ミーティング』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

前提としてわかっておいてほしいのは、残念ながらミーティングというものは人をいい気分にしてくれる場ではないということ。私の初期の研究でも、「ミーティングを『仕事の邪魔』だと捉える人は多い」という結果になっています。

組織に属する人は日々、与えられたタスクを完成させようと励んでいます。そこに割って入ってくるのがミーティングです。仕事はチームでやることが多いものの、評価の基準はあくまで個人ベース。つまり、働いている時間のほとんどは、個人としての目標を達成するためにあるということになります。

そんな個人も、ひとたび自分の考えやアイデアを話すように促され、きちんと聞いてもらったと感じれば、チームや組織により強い帰属意識を持つようになります。元インテルCEOのアンディ・グローブ氏が語るように、「ミーティングにおける最も重要な議題は、メンバーの中にあるもやもやした不安や疑問をはっきりさせること」なのです。

スティーヴン・G・ロゲルバーグ ノースカロライナ大学シャーロット校教授

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Steven G. Rogelberg

国の内外、学問分野を超えた卓越した貢献が認められ、ノースカロライナ大学シャーロット校で栄誉教授の称号を得る。これまでの出版物の数は100以上にのぼり、現在は組織心理学同盟の事務局長を務める。また、長年にわたるミーティング研究の功績を認められ、フンボルト賞を授与された。大学での教育と研究に加え、大小さまざまな企業でコンサルティングや講演を定期的に行っている。これまで一緒に仕事をした企業は、IBM、TIAA、プロクター・アンド・ギャンブル、VFコーポレーション、ファミリー・ダラー、シーメンスなど。NPOの運営改善を支援する団体を設立し、現在もトップを務める。この団体が支援するNPOは500以上になる。

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