サスペンションは、フロント:ストラット/リア:ダブルウィッシュボーンを採用。ブレーキは、対向ブレーキキャリパー(フロント:4ポッド、リア:2ポッド)+大径ローター(フロント:2ピース、リア:ドラムインディスク)が奢られる。
タイヤ&ホイールは225/40R18サイズで、RZ“High-performance”はミシュラン・パイロットスポーツ4S&BBS製鍛ホイール、RZはダンロップSPスポーツMAXX&エンケイ製鋳ホイールだ。
クルマ作りは「高い目標」と「課題の明確化」のためにトヨタのさまざまなカンパニーと連携しながら開発を進める「クロスファンクションチーム」で行われたという。
具体的に言うと、商品企画は「GRカンパニー」が担当するが、エンジン・駆動系は「パワートレインカンパニー」、ブレーキ制御は「先進技術開発カンパニー」、シャシー/ボディ/実験などは「コンパクトカーカンパニー」が行っている。
実はこれ、「TMR」が車両開発、ドイツの「TMG(トヨタモータスポーツ有限会社)」がエンジン開発、そして「トヨタ」がFIAとのやり取りなどのマネージメントやTMRの支援を行う“3極体制”を取っているTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamと同じ手法なのだ。
モリゾウこと豊田社長は、次のように語る。
「86はラリーでもレースでも私の大事な相棒です。スープラもその名にふわさしいクルマとして復活させることができましたが、心の中には『トヨタが自ら作るスポーツカーが欲しい』と言う想いがありました」
「GRヤリスは『勝つためにトヨタが一から作ったスポーツカー』です。これまでのトヨタ車は一般ユーザーのためのクルマを造り、それをレースに使えるように改造してきましたが今回は違います。初めからレースに勝つため、普段お客さまが乗るクルマとはどうあるべきか? そんな発想で開発したのがGRヤリスなのです」
応答性のよさは「ランエボ」並み
筆者は、世界初公開に先駆け、GRヤリスのプロトタイプに試乗することができた。
ターマック(富士スピードウェイ内のモビリタ)では市販に限りなく近いプロトタイプだったが、グラベル(ダートの特設コース)では、現行ヴィッツのボディにGRヤリスのコンポーネントが組み合わされた初期のテスト車両に、開発中のラリー用パーツ(強化クラッチ、クロスミッション、サスペンション)と、ラリータイヤが装着された仕様だった。
エンジンは、小排気量ターボながらもターボラグはなく、低回転から湧き出るフラットなトルク特性とレスポンスのよさ、そしてレッドゾーン(7000rpm)までストレスなく回る気持ちよさを備える。
試乗車は本調子ではなかったようで、スペックほどのパフォーマンスは感じなかったものの、アクセルを踏んだときの応答性やツキのよさは、2.0Lターボを搭載するスバル「WRX STI」を超え、三菱「ランエボⅩ」並みだった。6速MTは、ストロークこそやや長めだが、軽いタッチでカチッと決まるフィーリングは、横置きMTで最良の仕上がりと言っていい。
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