「GRヤリス」乗ってわかったトヨタの本気度 20年ぶりに復活した「スポーツ4WD」の実力

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パワートレインはWRカーと同じく1.6Lターボながら、GRヤリス用に開発された直列3気筒を搭載する。

専用ブロック/ヘッド、ボールベアリングターボ、排気バルブ大径化などモータースポーツ由来の技術を数多く採用することで、272ps/370Nmのハイパフォーマンスとクラス最軽量/最小サイズを両立している。

「ラリーカーをお手本にチューニングを行い、低回転域のトルクとレスポンスに注力しており、気難しさはないのに速いユニットに仕上がっています」と齋藤氏は言う。

「GRヤリス」は全車に6速MTを採用(写真:トヨタ自動車)

トランスミッションは、欧州向けに設定される6速MTをベースに、GRヤリス用に改良。素早いシフト操作での正確性に加えて、ダイレクトなフィールにもこだわったそうだ。また、シフトアップ/ダウン時にエンジン回転数を合わせる「iMT制御」も採用される。

AWDシステムはセンターデフを用いず、リアにシンプル/軽量にこだわったハイレスポンスカップリング(電子制御多版クラッチ式)を採用。前後駆動配分は100:0~0:100までアクティブに変更されるが、3つのドライブモード(ノーマル 60:40、スポーツ 30:70、トラック 50:50)がセレクト可能。また、RZ“High-performance”にはフロント/リアにトルセンLSDも奢られる。

WRCレギュレーションに合わせた専用フロアを採用

プラットフォームは、フロント周りがノーマルのヤリス用となる「GA-B」だが、リアセクションは1クラス上の「GA-C」をドッキングした専用品だ。ちなみにWRCのレギュレーションに「エンジンの搭載位置はクランクセンターから25mmの範囲でしか動かせない」とある。つまり、ベース車のエンジンの搭載位置が重要となるが、「GA-Bでなければこのパッケージは成立しなかった」(齋藤氏)とのことだ。

また、WRCのレギュレーションに「ボディの1番低い部分にサイドシルの平行線を落としたところが基準面となり、そこを基準に一定の範囲でサスペンション取り付け点を決定できる」とあるが、GRヤリスはそこも有利に働くよう、専用フロアになっている。

加えて、より軽量/低重心のためにボンネットとドアはアルミ製、ルーフはCFRP製(ローコストカーボン)の「マルチマテリアルボディ」を採用する。さらに、バッテリーをリアに配置することで、重量配分の適正化も実施された。

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