2015年、トヨタは大きな組織変更を行った。事業ごとに独立採算制とする「カンパニー制」を採ったのである。その中でトヨタ最小のカンパニーが「GRカンパニー」だ。ほかのカンパニーと違うのは、クルマ作りの考え方である。
GRカンパニーの友山茂樹プレジデントは「われわれはマニュファクチュアである以前に『レース屋』です。ワークス体制(TOYOTA GAZOO Racing)でモータースポーツ活動を行い、そこで得たノウハウや知見/人材を車両開発に直接的に投下していくのが、われわれのクルマ作りの基本となります」と語る。
狙うはWRC「ダブルタイトル」獲得
そんなTOYOTA GAZOO Racingのモータースポーツ活動は、ニュルブルクリンク24時間耐久レース(2007年~)、WEC(FIA世界耐久選手権:2012年~)、WRC(FIA世界ラリー選手権)の3カテゴリーがメインだが、その中でもWRCの歴史は古い。
トヨタとラリーの関係は、1957年に豪州一周ラリーにトヨペット・クラウンで参戦したのが始まりだ。その後、1973年にWRCが設立された当初から参戦を行い、1999年にF1参戦を理由に撤退するまでに、4回のドライバータイトルと3回のマニュファクチャラーズタイトルを獲得している。
その後、豊田章男社長は2015年にWRC復活を宣言。2017年、18年ぶりに「TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team」として復活を遂げた。
ラリーカーとしては異例となる短期間で開発されたヤリスWRCは、初年度からその実力を発揮し、2018年はマニュファクチャラーズタイトルを獲得。2019年はオット・タナック選手がドライバーズタイトルを獲得したが、マニュファクチャラーズタイトルはあと一歩の所で逃してしまった。もちろん、2020年シーズンの目標はダブルタイトルである。
ちなみにWRCを戦うヤリスWRCは、ベース車に対し大きく手を加える部分もあるが、レギュレーションによって手を入れられない部分も多い。つまり、ベース車両の素性が、ラリー車の性能を左右する部分も多いということだ。
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