トヨタ「世界一のスポーツカーメーカー」への道 あのポルシェを超えるために必要なことは?
昨年、遂にル・マン24時間レースで念願の初優勝を果たしたトヨタ ガズーレーシング(以下TGR)。6月に行われた今年のル・マン24時間レースでは2連覇を達成した。
出場するワークスチームは昨年に続きTGRだけとなれば、周囲の見方も、もしかすると身内にとっても「勝って当たり前」になる中、今回のレースに向けて、TGRはどのように備えてきたのだろうか。
いったい、何を変えたのか、それとも変えなかったのか。TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表 兼 GAZOO Racing Company GR開発推進領域(領域長)の村田久武氏に、レース前に聞いた。
2016年時点でポルシェには対抗できた
「去年から今年で大きく方針を変えたわけではないです。それこそ2016年に残り4分でリタイアしたときにはすでに、クルマとしては十分ポルシェに対して戦闘力のあるクルマ、速いクルマはできていたんですよね。ただ自分らのミスで勝てない年がずっと続いてました」(村田氏)
あと1周で勝利というところで、中嶋一貴選手の「ノーパワー!」という悲痛な叫びが響いたのは2016年のル・マンである。2014年も、14時間まで首位を走りながら配線のトラブルでマシンがストップしている。24時間を走り切るのがル・マン。23時間56分まで首位でも、走りきれなければ勝てない。
「これは、ずっと続いているストーリーなんです。そもそも(参戦を開始した)2012年の、もっと何年か前から、ハイブリッドをル・マンに持ち込みたいと思ってWEC(FIA世界耐久選手権)の主催者と交渉していました」(同)
「ただ新参者の要望を全部聞いてくれるわけではないので、すでに参戦していたメーカーがOKと言ってくれるようなレギュレーションになった。すなわち僕らのクルマは競合に対して圧倒的に遅いところからスタートしました。ですので、ものすごい勢いで技術開発をして、速くすることにずっと集中してきたんです」(同)
トヨタが参戦した2012年当時のWECは、このクラスに初めてディーゼルエンジンを持ち込んだアウディが支配していた。そこに参戦したトヨタは当初苦戦するも次第に戦闘力を高めていき、2014年にはシリーズチャンピオンを獲得する。しかしながら悲願のル・マン制覇だけはかなわずにいた。
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