トヨタ「スープラ」が17年ぶりに復活する意味 今というタイミングに要素が全てかみ合った
アメリカ・デトロイトで開かれたNAIAS(北米国際自動車ショー)プレスデー初日となる1月14日、トヨタ自動車がついに新しい「スープラ」をお披露目した。日本国内におけるスープラの車名では2代目だった先代の生産終了が2002年8月だから、およそ17年ぶり、まさかの復活である。日本での発売は2019年春頃となる見込みだ。
スープラは、かつてトヨタブランドのスポーツカーの頂点に位置づけられていたモデルである。前身は1978年に登場した「セリカXX」。このセリカXXは北米ではスープラと呼ばれており、日本でも1986年のフルモデルチェンジを機に、同じスープラの名が採用される。1993年には2代目モデルが登場。しかしながら2002年8月より新たな排ガス規制が実施されると、販売の低迷もあってそれへの適合を見送り生産を終了した。
NAIASのプレスコンファレンスに登壇した豊田章男社長は、自らがマスターテストドライバーとしての腕を磨く際に走り込んだスープラの復活は「自身の夢だった」と、まるで旧友と再会したかのように思い入れたっぷりに語った。
スープラはコモディティー化させない決意の象徴
しかしながら当然、社長が夢見たからといって1台のクルマが、それもこの時代にスポーツカーが復活できるわけではない。その夢と同時に、今スープラを登場させるべき理由がトヨタ自動車にしっかりとあったからこそ、このプロジェクトは陽の目を見たはずだ。
なぜ今、スープラが必要なのか。1つには、それはトヨタの、クルマをコモディティー化させないという決意の象徴として求められたからではないだろうか。
クルマは今、まさにコモディティー化あるいは白物家電化への道を急速に進んでいる状況にある。かつてスポーツカーがもてはやされたり、あるいはハイソカーブームなどというものがあったりした時代とは異なり、ランドにこだわる人、動力性能やスペックを気にする人は減り、販売の主軸は軽自動車やミニバン、コンパクトカーに移っている。クルマはあくまで道具として選ばれるのが主流となってきているのだ。
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