「コンパクトカーの常識を越える性能を目標に開発してきた。軽さと小ささを生かした気持ちのいい走りと世界トップレベルの低燃費をお客様に提供する」。待望の新型車を前に、トヨタ自動車の吉田守孝副社長は強い自信を示した。
トヨタは10月15日、コンパクトカーの基幹モデル「ヤリス」の新型車を世界初公開した。現在3代目の国内向けはこれまで「ヴィッツ」だったが、4代目への刷新を機にヤリスに車名を統一。2020年2月中旬に日本での発売を予定しており、その後、世界各国で順次販売していく(ガソリン車の4WDの国内発売は2020年4月を予定)。フルモデルチェンジは2010年12月以来で実に9年ぶりとなる。
ヤリスの最大市場はヨーロッパだ。そのため、今回、トヨタは新型ヤリスのワールドプレミアを日本に加え、オランダでも開催した。2018年のヴィッツを含むヤリスの世界販売台数は33万7000台に上るが、そのうち3分の2をヨーロッパ市場が占める。
一方、日本では同年に8万7000台を販売。ヤリスはヨーロッパと日本で9割以上を販売するというまさに“先進国向け”のコンパクトカーである。目指したのは、セカンドカーのみならずファーストカーとしても十分に使ってもらえる車としての高い基本性能だ。
プラットフォームを大幅に刷新
9年ぶりの刷新で何が変わるのか。一番大きな変化はプラットフォームだ。今回、コンパクトカー向けとしては初めて「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)を導入する。
トヨタの新しい開発手法であるTNGAは、車のサイズやカテゴリーごとに車の基本構造であるプラットフォームを絞り込み、部品の共通化も進めることで、開発効率を引き上げることが狙いだ。新型プラットフォームの導入で、ハイブリッド車(HV)の場合、従来型に比べ車両重量を1100kgから1050kgへと50kg軽量化。ねじり剛性を30%以上強化し、重心高を15mm下げることで、安定した走りを実現したという。
TNGAは2015年発売の4代目プリウスを皮切りに導入され、さまざまな新型車に拡大してきた。今回のコンパクトカー向けは「GA-B」と呼ばれ、これでエンジン搭載車向けのTNGA4種類が出そろったことになる。
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