トヨタ、「ヴィッツ」を「ヤリス」に改名する理由

9年ぶりの全面刷新、競合とどう差別化するか

パワートレインにもこだわった。新型ヤリスでは1.5リッターHV、1.5リッターガソリン車、1.0ガソリン車の3種類を用意。1.5リッター向けには、「直列3気筒1.5リッターダイナミックフォースエンジン」を新開発した。

HVはそのエンジンに最新のトヨタハイブリッドシステム(THS)を組み合わせた。モーター出力を30%引き上げて加速性能を向上させ、モーターのみで走るEV走行モードは最高時速を従来の70kmから130kmにレベルアップさせた。これにより電池残量などの条件を満たせば、高速走行時にエンジンを切り、ガソリンの使用量を減らすことが可能になった。

HVの燃費向上がヨーロッパ攻略のカギ

こうした取り組みにより、新型ヤリスのHVは国際的な新燃費基準であるWLTCモード燃費では現行ヴィッツのHVより20%以上の改善を目標にしているという(燃費は各グレードの価格とともに12月発表予定)。現在、市販車で最も燃費のいいプリウスは39.0km(JC08モード、Eグレード)だが、新型ヤリスのHVはこの数字を上回りそうだ。

トヨタがHVの燃費向上にこだわるのはヨーロッパ、日本ともにHVが販売戦略上欠かせない商品だからだ。日本ではヴィッツのHV比率は4割弱だが、ヨーロッパ向けのヤリスでは6~7割を占めるという。ヨーロッパではディーゼル離れが進み、燃費のいいHVの人気が高まっている。

その追い風を受け、トヨタのヨーロッパ販売は2018年に100万台を突破。このうちヤリスは21万9000台を占める。ヨーロッパ販売のさらなる強化にも売れ筋であるヤリスの商品力向上、特にHVの性能向上は欠かせないのだ。

燃費だけではない。新型ヤリスのHVにはトヨタのコンパクトカーとして初めて電気式の4WDシステム「E-Four」を設定。モーターの小型軽量化が進み、ユニットを車両後部に搭載することが可能になった。雪道などの滑りやすい路面で走行が安定するため、「寒冷地のユーザーの需要にも応えられる」(開発担当者)という。

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