「命がけの落書き」に映る2019年香港デモの現実 この1年いったい香港で何が起きたのか?

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元朗駅近くに描かれたアート(2019.10.15筆者撮影)

逃亡犯条例改正案反対に端を発した香港のデモ活動は6カ月を越え、香港がイギリスから中国に返還されて以来最長となった。

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年末になっても収束の兆しが見えない。クリスマスイブの12月24日は九龍半島の尖沙咀で、クリスマスソングを歌うデモ隊と、武装警官隊が衝突。またもや催涙弾が飛び交った。

デモ活動が長期化、過激化する一因として、香港に普通選挙制度が確立されていないことが挙げられる。政治に対する意思表示をするために有効な手段は限られており、その中の一つがデモ活動だというのだ。

「逃亡犯条例改正反対」運動から民主化デモへ

元朗駅周辺でビラ貼りを禁止する警告文「ビラを貼るな。攻撃者には法的措置を取る」。すぐ上には監視カメラがあるが誰かが黒い覆いを被せている(2019.12.10筆者撮影)

民意を表現する手段として、香港に移住してきて約4カ月の筆者が日本との違いを実感しているのが、街中の落書きやビラの多さだ。日本で生活していると、政治的なメッセージ性のある落書きやビラを都内の繁華街で目にすることはほとんどない。

しかし香港のそれは逃亡犯条例改正反対運動(反送中)から民主化運動へと変わった香港の民意を映し出している。行政側も問題視しているのか、そうした落書きやビラは、わずか一晩で消されたり、剥がされたりしていることが多い。時に未成年の逮捕者も出す落書きから、移り変わる2019年の香港デモを追った。

「反送中(逃亡犯条例反対)」と書かれたビラ。2019.6.16香港島の「パシフィックプレイス」付近(写真:石井大智さん提供)

半年以上続く抗議活動のきっかけになったのが、香港政府による逃亡犯条例改正案の提出だ。

この改正案が、中国当局による恣意的な拘束を招きかねないとして香港市民が猛反発。6月9日には100万人、翌週6月16日には、史上最大規模となる200万を超える人々が参加した反対デモが行われた。

しかしながら、林鄭月娥行政長官は7月9日の記者会見で「改正案は死んだ」と発言したものの、正式に撤回を明言することはなかった。

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