11月後半になると、激化していたデモ隊と警官隊との衝突はいったん落ち着いたかのように見えた。
大学を拠点にした抗議活動で多数の逮捕者が出たこともあるが、11月24日に開催される区議会議員選挙を無事に実施させよう、という動きが活発になったためだ(今回の選挙は、直前まで「政府が安全上の理由から中止するのではないか」とみる向きもあった)。
落書きの内容も、選挙に向けた内容に変化。「一票を投じなければ、香港人ではない」など、選挙への意気込みを示すものが多く見受けられるようになった。
選挙の意気込みを示すように
選挙は無事に実施され、投票率は約71%と中国返還以来、過去最高となった。民主派が全議席452議席の8割を超える388議席を獲得して圧勝した。この選挙はあくまで区議会選であり、地方選の位置づけだ。そのため、普通選挙制度を求める民主化デモは、今も続いている。
11月27日(現地時間)には、アメリカのトランプ大統領が「香港人権・民主主義法」に署名し、同法が成立。香港では、デモ隊がアメリカ国旗を掲げて支援を求める姿も見受けられるが、現地ではその実効性を疑問視する声もある。
政府統計によると、2019年3四半期(7〜9月)の成長率は前期比でマイナス3.2%となり、10年ぶりのリセッション(景気後退)に突入した。
香港島エリアで働く香港人女性のジェニーさん(仮名)は「来年も景気回復に至るとは思えない。SARSやリーマンショック、雨傘運動の時よりも長期的な景気後退が考えられる。その中でいかに自分や家族の生活を守るか課題だ」と話した。すでに2020年の元旦にも、香港島銅鑼湾エリアで大規模なデモ行進が計画されている。収束はまだ見えない。
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