香港「2種の新型コロナワクチン」が呼ぶ波紋

低接種率の背景に不信と恐怖が見え隠れする

香港のワクチン接種の様子(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

11月半ばから、長らく続いた第4波が明けた香港。2月26日からは医療従事者や高齢者を対象に新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。

当初、香港ではワクチンの種類は北京に本社を置くSinovac Biotechが開発した「CoronaVac」の一択のみだった。しかし3月10日からは、アメリカの製薬会社PfizerとドイツのBioNTech社が共同開発し、中国・上海の製薬会社、Fosun Pharmaが中国本土と香港、マカオ、台湾における販売権を持つ「Cominaty」も選択肢に加わった。

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3月16日からは、30歳以上の健康な成人にも接種対象者を拡大。欧米や日本、シンガポール等と比較してもかなり早い措置だ。しかしそれにもかかわらずワクチン接種率は3.4%。トラベルバブル(香港とシンガポールが両都市間の往来で隔離措置を免除)を予定していたシンガポールの11.6%に比べると伸び悩んでいる(4月2日時点、ロイター通信「ワクチントラッカー」より。1ワクチン2回接種が必要として算出)。SARSの記憶が残る香港で、ワクチン接種が進まない理由はどこにあるのか。

2種類のワクチンから選べる

ワクチン接種が始まった当初、香港で流通していたのはSinovac製のみ。同ワクチンが香港政府により承認されたのは2月18日だったが、 1月25日に先行して承認されたBioNTech製より先に接種が始まった。しかし、第一弾としてSinovac製ワクチン約16万回の接種が行われた後、7人の死亡例と数十件の副反応が公表された。

ところが、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は自らSinovac製ワクチンを接種する姿をメディアに公表し、同ワクチンを支持。香港政府は「ワクチン接種と、その後の死亡に関する因果関係は不明」と発表し「期限切れになる前にワクチンを接種するように」と呼びかけた。しかし、Sinovac製ワクチンの予約キャンセルや、予約をしても接種場所に現れないケースが続出。接種率は伸び悩んだ。

3月10日 には、BioNTech製のワクチンの接種が始まったが、24日朝には「製造バッチ210102のパッケージに不備が見つかった」との理由でそれ以降の接種と予約を一時中断。

バッチナンバー入り接種証明書の写真(写真:筆者撮影)

筆者も3月16日に予約サイトにアクセスし、早速BioNTech製ワクチンの1回目の接種予約をしようとしたが、場所や日時を考えているうちにどんどん予約枠が埋まっていった。

結局3月23日に予約し、接種したのはまさに該当バッチの210102。「安全性に問題はない」という発表のとおり、香港衛生署からはなんの連絡もなかった。4月1日になってからようやく、4月5日から接種が再開される旨が発表された。

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