香港「2種の新型コロナワクチン」が呼ぶ波紋 低接種率の背景に不信と恐怖が見え隠れする

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また、欧州出身のポール(30代男性)はワクチンパスポートへの期待から、家族全員分のBioNTech製ワクチンを予約しようと試みた。しかし、予期せずして妻と大喧嘩に発展したという。妻は香港出身だが、アメリカ育ちで、英語に関してはネイティブ。しかしことワクチンについては、どんなに英語の記事や医学論文などを見せようとしても「怖いから香港では打ちたくない」の一点張りだというのだ。

ポール氏は今後も、妻への説得を続けていくつもりだ。「政治への不信や恐怖に飲み込まれる前に、理性でワクチンを打ちたい、打ってほしい。それが家族を守ることだと思うのです」

その一方で、「香港にいると、コロナやワクチンに関する不正確な情報が日々メッセージアプリなどに、送られてきます。普段は冷静な妻がなぜかそれを信じてしまう」とも語る。

数々のデマがメッセンジャーに

確かに、筆者の元にも数々のデマがメッセンジャーに乗ってやってくる。「新型コロナウイルスは武漢の研究所で作られたと論文で証明された」というものもあれば「38歳の日本人女性がBioNTech製のワクチンを接種したのにコロナになった!(香港で接種されているBioNTech製ワクチンは効果がないのでは?)」というものもあった。しかし、そもそも情報ソースがついていないものも多く、ついていても解釈が不正確なものもある。

ちなみに元をたどってみたところ、前者の情報ソースは香港大学に所属していた中国人学者・閻麗夢氏がオンラインプラットフォームで発表した査読を受けていない論文で、世界中の科学者から「トンデモ論文」と非難されたもの。

日本のメディアでもハフィントンポスト日本版(2020年9月17日付) がゲノム科学の専門家である東海大学医学部の中川草氏に取材し「‥(著名な論文に)恣意的に触れず、見たい情報を自分たちで取捨選択して書いている節がある」と言わしめている。

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