50代が「転職・再就職」で超苦戦する根本原因 「空前の売り手市場」を鵜呑みしてはいけない
1つはコストの問題だ。40代、50代を採用したら会社は年齢に応じた高い給料を払わねばならない。それよりもコストの安い20代、30代を雇用し、早く組織に慣れてもらって戦力になってもらったほうが、費用対効果が高い。
これは芸能界にたとえるとわかりやすい。テレビ番組では大御所芸人やタレントが出演すると高いギャラを支払わねばならず、実は取り分が少ない。一方、将来性のある若手をギャラが安いうちにキャスティングして、その番組の人気が出てくると利益が大きい。
私はかつて映画と音楽の仕事も手がけたことがあるが、これは映画やコンサートでも同じだった。ある大御所歌手がコンサートをやったときは、ギャラは高いしセットや衣装などに対する注文も多く、大赤字だった。
芸能界で無名の人が有名になるプロセスで儲けるのと同じで、企業も若くて給料も安くてすむ年代の人ほど、働いてもらう価値があると判断し、その「伸びしろ」に投資するのが一番利益になるのだ。
日本は「年功序列型組織」
2つ目の理由は、日本の年功序列型組織に対応するためだ。最近では外資系のような成果主義の会社も増えつつあるが、日本では依然として年齢や勤続年数とともに役職や報酬が上がる「年功序列」を採用している企業が多い。そのなかに40代、50代の人が途中で入ってくるのは、まわりの社員が非常にやりづらい。
40代、50代はコストがかかると述べたが、そうすると「給料は安くても構わない」といい出す輩もいる。私のところにも某企業の事業部長だった55歳の人が「俺はあの若造より仕事ができる。あんな35歳の若造に1000万円も払うなら、俺は同じ仕事を500万円でやってやる」と言ってきたことがあった。
私は半ばあきれて聞いていた。その人も管理職としてこれまでに採用に関わってきたはずだ。私は「じゃあ、あなたが事業部長で、あなたのところに500万円で働くといって55歳の人が来たら採用しますか?」と聞いた。すると、「俺は採用する」と言い張る。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら