さて、一般的に企業の社会貢献活動に対しては、「当然行うべき」から「本業で社会に貢献すればそれでいい」といった意見まで、幅広い考えがある。ただ大企業になるほど、あるいは有名になるほど、社会からの期待が増し、多くの関係者から協力を求められることが増える。
社会貢献の成果を検証しよう
利益を上げ、そのうち一定金額を自社の方針に基づき、社会貢献に使うことは、一定規模以上の企業には欠かせない活動なのかもしれない。とはいえ、「お金を拠出すればいい」わけではなく、その志も問われる。
「社会貢献活動はどれだけお金や人を出したかというインプットだけでなく、その結果、上昇した数値などのアウトプット。さらに、そのアウトプットでその地域と企業にどのようなよい影響を与えたかというインパクトを考えなければならない」。
アジア全域で企業のCSR活動のコンサルティングを行っている「CSRアジア」でコミュニティ投資責任者を務めるメイベル・ウォン氏は「社会貢献の成果を検証することの重要性」を強調する。
実際、「グローバルでも見ても、以前は多かった小切手を書き、お金だけを出す寄付活動は減っている」(CSRアジア会長・リチャード・ウェルフォード氏)と単なる慈善事業は主流でなくなりつつある。企業とNPO・NGOや地域などが積極的にコミュニケーションし、お互いにメリットがある活動を行うことが、長い目で見て持続可能な取り組みになるという共通認識が芽生え始めているようだ。
こうしたレベルの高い社会貢献活動のことをコミュニティ投資といい、CSRアジアでは「コミュニティ投資スコアカード」で分析を行うなど定量化への取り組みも動き始めている。
このように社会貢献活動は一歩上の段階に進みつつある。今回、ランキングでご紹介した各企業は、それぞれに知恵を絞った取り組みを行い、「お金を出すだけ」というレベルは大きく上回っている。
しかし、その後のアウトプットの把握やインパクトの検証までというと、まだ十分ではなさそうだ。この点を進化させることが日本企業の社会貢献活動をレベルアップするために必要なことかもしれない。
さて、小社では今回、ご紹介した社会貢献支出額や事業事例などの情報をまとめた『東洋経済CSRデータeBook2014社会貢献実践編』を電子書籍で発行した。
社会貢献活動支出額(寄付金、寄付金以外の社会貢献支出額、マッチング・ギフト会社支出額)、社会貢献事業担当部署、各種事業事例(地域社会参加、教育・学術支援、文化・芸術・スポーツ、国際交流の4分野)、2013年6月時点の東日本大震災復興支援・具体例など社会貢献の実践情報を1056社掲載している(会社によって情報量の差はある)。
ランキング結果と併せて日本企業の社会貢献の取り組みについて考えるための資料としてご活用いただきたい。
●電子書店のページ(amazon・Kindle 楽天・kobo Google Play)
企業評価の新たな視座として浸透してきたCSR(企業の社会的責任)。上場企業をはじめ有力1210社におけるCSRの取り組みを、国内最大規模のデータベースから各企業個別に紹介した、日本で唯一の刊行物。
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