このように金額ランキングでは超大手企業が上位を占め、それ以外の企業は存在感が薄い。一方、日本経済団体連合会(経団連)設立の「1%(ワンパーセント)クラブ」では「経常利益(法人)や可処分所得(個人)の1%以上を目安に、社会貢献活動に支出しよう」と呼びかけ、身の丈にあった活動を推奨している。
そこで、この「1%クラブ」を参考に、企業の規模に応じた貢献がわかるよう経常利益に対する社会貢献支出額が占める比率を「社会貢献支出比率」とし、ランキングを作成した(なお、『CSR企業総覧』には3年分のデータを掲載しているのでバラツキをならすために経常利益と社会貢献支出額はそれぞれ3年平均で計算している点には注意していただきたい)。
額は少ないが、赤字でも貢献し続ける企業も
社会貢献支出比率のランキングトップは169.80%のJUKI。工業用ミシンではシェア世界一の企業だ。同社は12年12月期の29.9億円の経常赤字が影響し3年平均は3.3百万円(11年12月期の9カ月決算の数字は12カ月で調整して算出)と、社会貢献支出額5.7百万円に対して150%を超えた。
2位はイナリサーチ(100.0%)。こちらは12年3月期、13年3月期と2期連続の赤字で3期平均の経常利益は2百万円にとどまり高い比率となった。3位アドバンテスト(26.10%)も同様に12年、13年の2期連続の赤字(米国基準のため税引き前)が影響している。
ただ、この上位3社は少なくとも1期は赤字になっているものの社会貢献は中止することなく続けている。もちろん企業は利益を出すことが重要だが、継続して社会貢献を続けようというこの3社の姿勢は評価できるだろう。
4位蝶理(21.34%)は上位3社と異なり3期とも黒字で業績は安定している。本社近くで開かれる「べったら市」への若手社員のボランティア参加、「日本ダンス大会」への特別協賛に加え、東日本大震災の復興支援も行っている。
被災地では、「ガラスの風鈴」約300個を仮設住宅に住む被災者に贈るとともに、風鈴への絵付けのイベントも開催。ボランティアスタッフへ、仙台のシンボルであるケヤキの葉で染めたナチュラルダイのポロシャツを寄贈するなど、復興支援活動も継続している。
5位は家庭用消臭芳香剤トップのエステー(13.54%)。幅広く社会貢献に取り組んでいるが、特に自社製品の家庭用放射線測定器「エアカウンター」での社会貢献が特徴的だ。正しい放射線の知識を小学校で啓蒙する以外に、国立高専や被災地の福島県大熊町・川内町への寄付も行う。
6位は無添加化粧品のファンケル(11.73%)。地元横浜で社会福祉法人への支援や水問題啓発プロジェクトなどを実施。さらに、子ども向けの野球教室を全国で開催し、そこで集めた中古道具を世界の子どもたちへ寄付している。
以下、7位マツダ(9.38%)、8位川崎汽船(9.01%)、9位資生堂(8.96%)、10位HIOKI(8.68%)と続く。比率ランキング上位には超大手以外も含まれる。こうした企業は幅広い活動は難しいため、自社の方針を定めて得意分野中心に行うことが多い。これらの事例は、予算や体制が必ずしも充実しているとは言えない他の企業にとっても参考になるかもしれない。
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