立教はなぜ、東大・早稲田・慶應に勝てたのか?

立教大学総長 吉岡知哉氏に聞く、教育と就活

:おっしゃるとおりです。会社で働くうえでも、給料のためだけに働く人にはいい仕事はできません。やりがいや楽しさを感じてこそ、全力で働けるのです。でも、一方でやりがいや楽しさがあるのだから、給料はいらないでしょと言われれば、そんなことはありませんよね。得は得としてあって、そのうえで楽しさを伝えていくことが重要なのだと思っておりますが、いかがでしょうか?

吉岡:そういうことならわかります。大学では、従来どおり学問の面白さを伝えたい。そのうえで、企業側から何らかの「得」が与えられるのであれば、それに越したことはないのかもしれませんね。

あいまいな言葉に、学生は苦しめられている

:現在の就職活動には、いろいろと問題があると思います。大学側から、企業への要望は何かありますか?

吉岡:いろいろありますが(笑)、いちばん感じているのは、企業の求める人材像です。調査によると、企業は求める能力として「コミュニケーション能力」とか「人間力」とか、あいまいな言葉を使っていますよね。そのような基準で20社も30社も落とされると、学生は自分が否定されたように感じてしまいます。

最終的にはコミュニケーション能力とか人間力としか言いようのないものが重要なのはわかりますが、もう少し、具体的な人材像を提示してほしいですね。それは、学生に対して強いメッセージになりますから。

:おっしゃるとおりです。私だって、そんな理由で何社も落とされたら、きっと落ち込んでしまうと思います(笑)。

吉岡:(笑)。それから、エントリーシート方式というのは、すでに限界に来ているのではないでしょうか? 多い企業では、何万通ものエントリーシートが送られてきているようです。企業の方にお話を伺うと、全部読んでいると言われますが……。

:あ、そんなことはないと思います(笑)。今、エントリーシートで最初の選抜をしている企業は減っていて、筆記テストでの選抜が主流です。エントリーシートは、面接の質問の材料として使っている企業のほうが多くなっています。

でも、エントリーシートって、「自分がやりたかった」活動しか書いていないんです。多くの学生にとって「やらなければならない」学業についても聞くことで、より深く学生を理解できると考える企業が出てきて、最近は成績表にも注目が集まっているのです。

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