立教はなぜ、東大・早稲田・慶應に勝てたのか?

立教大学総長 吉岡知哉氏に聞く、教育と就活

:そうやって、学問で何かを突破した経験を持っている学生は、企業に入ってからも強いと言います。これは富士通の人事部の方が言っていたのですが、入社2~3年目くらいまでは、口がうまいとか、元気があるとか、そういったことで乗り切れるそうです。でも、それ以降、徐々に責任が増えてきて自分で物事を考えなければならなくなると、大学時代に学問をきちんと学んだかどうかが、すごく重要になるんだそうです。頭の使い方がわかっているんだと思います。

吉岡:就職活動が早く始まってしまうことは、頭の使い方を学ぶ機会を奪っていることになるのでしょうね。もちろん、課題もないわけではありません。4年生の8月から3月までと、就活が短期化することで、どこにも採用されない学生を増やしてしまうかもしれない。特に、中小企業とのマッチングには、最初は苦労することになるかもしれません。公務員試験をどうするかも、はっきりとは決まっていません。ですが、20年くらい前までは、就活の開始は4年生の秋からでした。やってやれないことはないですし、やらなければならないと思っています。

成績の就活への活用は、学問の面白みを阻害するか

:吉岡さんのお話を伺っていると、大学の授業は本当に重要なんだとあらためて再認識します。私は、企業が大学の成績を就活の際に利用することで、学生の学びのモチべーションを向上させる取り組み(過去の連載参照)を行っているのですが、これについてはどう思われますか。

吉岡:基本的にはいいことだと思います。本学でも、高校生を指定校推薦で合格させることがあります。高校によって成績の付け方や甘さには違いがあると思いますが、それでも経験を蓄積させることで、いい学生を選抜できています。

もちろん、学部生時代に勉強したことが、会社に入ってから直接役立つわけではありません。でも、文章の書き方、資料の作り方、論理的思考、概念の使い方など、専門を本気で勉強しないと身に付かない能力があるのです。それは、企業に入ってからも役に立つと思います。

:そういったことを、大学側から企業に要望してもらえると、私の活動もやりやすくなるのですが(笑)。

吉岡:考えておきます(笑)。ただし、異論がないわけではありません。学問というのは、本来、それ自体が面白いものです。本学では最初に学問への動機づけを行うと言いましたが、動機が「就職のため」となってしまうと、学問の面白さを感じられなくなるおそれがあります。これをやると得だから、というだけでは、大学のスタンスとしては問題があると思います。

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