そこで、留学の話を聞いたり、先輩の見事なプレゼンを見たりする。すると、僕たちも頑張ればこんなふうになれると思うようです。きちんと勉強すれば、目の前の先輩のようになれるという自信が湧く。そうすると授業への取り組み方も変わってきますから、結果としてハイレベルな授業を行うことができるのではないかと思っています。
辻:まず、モチベーションを高め、目指すべき目標を設定する。企業の新人研修に通じるものがあります。
吉岡:そうだと思います。そういった基礎があるからこそ、さまざまな取り組みや校風が生きてくるのです。まずは学生にやる気になってもらわなければ始まりません。
そのうえで、本学は「専門性に立つ教養人」の育成を標榜しています。創立以来、専門分野の視野狭窄に陥ることなく、隣接領域から関係のない学問分野まで、幅広く学ぶ環境があります。こういった授業では、知識もさることながら、自分の頭で、たとえば自分の専門領域とのかかわりを考えたりしながら学ぶことになります。こういったカルチャーが、「考える力を育成する授業」だと思われるのだと思います。
就活の後ろ倒しは、プラスのほうが大きい
辻:そういった「よい授業」が就活によって阻害されてきた結果、学生の成長の機会を奪ってきた部分もあったと思います。来年から、就活の開始が8月に後ろ倒しになりますが、その点についてはどうお考えですか?
吉岡:これまでは、本当にひどかったと思います。学生は、2年生から3年生に上がる頃には、就活を意識せざるをえない。3年の夏休みが終われば、就活がスタートしてしまいますから。
学問というものは、最初は大変なものです。必死で考えたり、本を読んだり、授業を聞いたり、そういった積み重ねがあったうえで、あるとき、何かを突破して、すごく面白く感じられるようになる。それには、やはり2~3年はかかります。これまでの就活のスケジュールでは、突破する前に就活のことを気にしなければならなかった。これは、日本全体で見れば大きな損失だったと思うのです。そういう部分は、だいぶ解消されるのではないかと考えています。
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