立教はなぜ、東大・早稲田・慶應に勝てたのか? 立教大学総長 吉岡知哉氏に聞く、教育と就活

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そこで、留学の話を聞いたり、先輩の見事なプレゼンを見たりする。すると、僕たちも頑張ればこんなふうになれると思うようです。きちんと勉強すれば、目の前の先輩のようになれるという自信が湧く。そうすると授業への取り組み方も変わってきますから、結果としてハイレベルな授業を行うことができるのではないかと思っています。

:まず、モチベーションを高め、目指すべき目標を設定する。企業の新人研修に通じるものがあります。

吉岡:そうだと思います。そういった基礎があるからこそ、さまざまな取り組みや校風が生きてくるのです。まずは学生にやる気になってもらわなければ始まりません。

そのうえで、本学は「専門性に立つ教養人」の育成を標榜しています。創立以来、専門分野の視野狭窄に陥ることなく、隣接領域から関係のない学問分野まで、幅広く学ぶ環境があります。こういった授業では、知識もさることながら、自分の頭で、たとえば自分の専門領域とのかかわりを考えたりしながら学ぶことになります。こういったカルチャーが、「考える力を育成する授業」だと思われるのだと思います。

就活の後ろ倒しは、プラスのほうが大きい

辻太一郎
2011年に、NPO法人「大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の就業力を向上させる会(略称DSS)」を設立。大学教育と就職活動のねじれを直し、大学生の学業への意欲向上と学業を通しての就業力の向上を図りやすい社会を創る活動を、企業や学生、大学と連携し、意欲的に行っている。

:そういった「よい授業」が就活によって阻害されてきた結果、学生の成長の機会を奪ってきた部分もあったと思います。来年から、就活の開始が8月に後ろ倒しになりますが、その点についてはどうお考えですか?

吉岡:これまでは、本当にひどかったと思います。学生は、2年生から3年生に上がる頃には、就活を意識せざるをえない。3年の夏休みが終われば、就活がスタートしてしまいますから。

学問というものは、最初は大変なものです。必死で考えたり、本を読んだり、授業を聞いたり、そういった積み重ねがあったうえで、あるとき、何かを突破して、すごく面白く感じられるようになる。それには、やはり2~3年はかかります。これまでの就活のスケジュールでは、突破する前に就活のことを気にしなければならなかった。これは、日本全体で見れば大きな損失だったと思うのです。そういう部分は、だいぶ解消されるのではないかと考えています。

次ページ人事部は、学問をどうとらえているか
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事