お年玉は中高生がお金について学ぶいい機会だ 親がお年玉で子どもに伝えるべき事とは

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最近は大学生が詐欺の被害にあうケースが非常に多い。それも、俗に言う「モノなしマルチ」というものだ。従来のマルチ商法はモノを売りつけるケースが多かったが、「モノなしマルチ」は投資話や仮想通貨への投資など、モノがないマルチ商法を指す。

具体的には、バイナリーオプションや日経先物取引などの金融商品の取引において、「絶対に勝てる」といって勉強会への参加資格を買わせたり、必勝法が入っているというUSBメモリーを買わせるようだ。

これらの詐欺について、大学生になってから対策するのでは遅い。昨今の詐欺は非常に巧妙に設計されており、事前に相当な知識と警戒感を持っておかないと、すぐに騙されてしまう。詐欺被害にあいやすい大学生になる前、つまり中高生の時点から消費者教育のような詐欺対策を始めておく必要がある。お年玉は大人からすればそれほどの金額ではないかもしれないが、子どもたちにとっては大金だ。子どもにお年玉を渡す際に、このような実例も併せて話をしてみたらどうだろうか。

お金の流れを考えてみる

最近はジュニアNISAなどの子どもに関する投資の制度が整備されたことや、つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の普及によって、親自身が投資を始めたことなどから、子どもにお年玉の代わりに株式や投資信託を買わせるという話も聞く。

それも金融教育の1つとしてはいいだろう。しかし、いきなり財務分析やマクロ経済の分析などを教えていっても子どもたちは嫌になってしまうだろう。そこで、まずは「お金の流れ」について考えさせてみるといいかもしれない。

意外と大人でも理解している人がいないのだが、銀行に預けたお金や株を買ったお金、商品を買ったお金、これらのお金は自分のお財布や口座から出て行ったところで意識が切れてしまう人が多いが、そこから先の流れまでを確認していくと、世の中はお金がぐるぐるとまわっていることを理解できる。

本稿は中高生を子どもに持つ親が主な対象となっているが、筆者の経験則からは小学生でも十分に理解できる内容といえるので、ぜひ話し合ってみてもらいたい。具体的例を挙げて説明しよう。

まず、銀行にお金を預けた場合だ。今でこそ利子はほとんどつかないが、銀行に預けるメリットを子どもに聞かれたとき、筆者はメリットの1つとして少しだけお金が増えると説明をした。そうすると、子どもはなぜ、お金が増えるのか不思議に感じるらしい。

銀行にお金を預ける。そうすると、銀行はお金を厳重に保管するわけだが、当然そのまま保管していて増えるわけがない。一方で、企業が銀行にお金を借りに来た時に、銀行はその預かったお金を貸し出す。銀行からお金を借りる企業は、利子をつけて返済するので、銀行はその利子の一部を預金者の利子として充てる。簡単に言えば、このような仕組みが銀行にはあるわけだ。

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