お年玉は中高生がお金について学ぶいい機会だ 親がお年玉で子どもに伝えるべき事とは

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また、株にお金を投資する場合。それは何を意味するのか。ある人がビジネスのアイデアを思いついたとする。しかし、それを実現するためにはそれなりのお金が必要になる。そこで銀行にお金を借りに行ったとしても、まだ実績も何もない企業にはお金を貸してくれるわけがない。

そこで、株式会社は投資家に株式を発行する代わりに、お金をもらうことになる。このとき受け取ったお金は銀行の融資とは違い、返済する必要はない。それなら、株式を使って資金調達をしたほうがいいと思うかもしれないが、3分の2以上を経営陣で保有していないと安定的な経営はできない。そうなると、闇雲に株式を発行して資金調達をすることは非常にリスクが多い事になる。

このように、お金の流れについて子どもと考えることもとても重要であろう。

そもそも、お金とは何か?

子どもには少し難しい話をすることになるかもしれないが、これまでの内容が「うちの子には……」と思うのであれば、もう少し根本的な話をしてみてもいいかもしれない。それは「そもそも、お金とは何か?」ということである。

これは筆者が小学生中学年前後(10歳前後)を対象に話している内容の一部なのだが、中高生でも親や祖父母でも非常に反応がいい内容だ。

私たちが普段使っているお金は、少しずつではあるがカタチを変え始めている。それはキャッシュレスというかたちで、目には見えない存在になったり、仮想通貨(暗号資産)のような新たなお金も誕生している。

時代をさかのぼれば、もともとはお金など存在せず、最初は物々交換から始まった。私たちは自然豊かな島国に住んでいるので、この物々交換の概念は理解しやすいだろう。山に住む人たちは狩猟をして肉中心の生活。海沿いに住む人たちは漁をして魚介類中心の生活。当然、そのうちに飽きが来るので肉と魚を交換するようになる。

しかし、必ず交換したい人同士がタイミングよく会えるわけではないので、運が悪いと交換ができぬまま肉や魚が腐ってしまう。そこで、腐らない稲が現在のお金のように交換手段として使われるようになり、その後は布や貝になっていくのだ。歴史を物語のように聞いていれば、子どもも興味を持って聞いていくが、それだけで終わるのは勿体ない。可能であれば、これからのお金のカタチについても語り合うといいだろう。

なぜ私たちは紙幣という紙切れに対して、本当に額面通りの価値があると思うのか。そこには中央銀行の裏付けという信頼があるわけだが、今後はそれ以外の信頼、例えば企業や個人に紐づいた信頼が中央銀行と同じレベルでの裏付けとなっていくのか。このような未来の話は大人も頭の運動になるし、子どもの発想力を育てることにも貢献してくれるだろう。

森永 康平 マネネCEO/経済アナリスト

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もりなが こうへい / Kohei Morinaga

証券会社や運用会社にてアナリスト、エコノミストとしてリサーチ業務に従事した後、複数金融機関にて外国株式事業やラップ運用事業を立ち上げる。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾、マレーシアなどアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、各法人のCEOおよび取締役を歴任。現在は法律事務所の顧問や、複数のベンチャー企業のCFOも兼任している。日本証券アナリスト協会検定会員。株式会社マネネTwitter

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