お年玉は中高生がお金について学ぶいい機会だ 親がお年玉で子どもに伝えるべき事とは
同調査によれば、中学生、高校生ともにお年玉はほとんどの子どもがもらっている。もらった相手をみてみると、親からが約65%(中学生:68.8%、高校生:66.6%)、祖父母からが約90%(中学生:91.9%、高校生:89.1%)、親戚からが約80%(中学生:82.6%、高校生:80.7%)となっている。
お年玉の総額と、もらった相手という2つのデータを踏まえれば、おそらく多くの場合はお年玉に1万円札が入っていて、親からだけなら1万円、母方と父方の両祖父母からももらえば総額で3万円、親戚の数次第で総額が5万円程度まで膨らむということなのだろう。
前述の調査によると、中学生の1カ月のおこづかいの平均額は2536円、高校生の1カ月のおこづかいの平均額は5114円となっている。このことを踏まえて考えると、お年玉が仮に3万円だとすると中学生からすれば1年分、高校生であれば半年分のおこづかいに相当する額が一瞬で手に入ることになる。
しかし、中高生ともにおこづかいやお年玉の使い道として上位に来るのは「友達との外食・軽食代」や「おやつなどの飲食物」ということで、日常の消費にまわすだけにとどまることが多いようだ。
子どもがせっかく大金を手にする機会が年明け早々訪れたのだから、親としてはお金の話を子どもとすることで、お金をいかに有効に使ったり、管理するかを話し合うべきだろう。
成年年齢の引き下げと金融教育
日本における成年年齢は、1876(明治9)年以来、20歳とされてきた。憲法改正国民投票の投票権年齢や、公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められたことから、市民生活に関する基本法である民法においても18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当ではないかという議論がされるようになった。
世界的にも18歳からを成人としている国も多いことから、成年年齢を18歳に引き下げることを内容とする「民法の一部を改正する法律」が2022年4月1日から施行されることとなった。
民法の成年年齢が18歳に引き下げられても、お酒やたばこ、公営競技(競馬、競輪など)に関する年齢制限については20歳のまま維持されるが、親の同意なく結んだ契約を取り消すことができる未成年者取消権は使えなくなってしまう。そうなると、現在は未成年である18歳や19歳の子どもたちが詐欺などの被害にあう可能性が高まってくる。
こうなると、子どもへの金融教育の重要性がより高まってくる。2022年度から始まる高校の新学習指導要領では、家庭科の授業の中で金融教育が行われることになっているが、金融教育といっても家計管理という観点から、資産形成の視点に触れる内容だ。
筆者は常々主張しているが、金融教育とは幅広くあるべきだ。例えば、お金の歴史や意味から始まり、経済学や統計学、株式会社の仕組みや税制など。その中に、資産運用も含まれるべきだと考えている。今回の金融教育が若干資産運用に偏っている印象があるため、家庭で消費者教育に比重を置いた金融教育を行ったほうがいいかもしれない。
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