おっさんと住む元アイドルが得た「最高の天職」 元SDN48大木亜希子、女子の共感を呼ぶ生き方
多くの経験を通して、彼女はありのままの自分に誇りを持つことができ、主軸が“他人軸”から“自分軸”に変わったのだろう。そんな彼女を精神的に支えたのは、『人生に詰んだ元アイドルは、赤の他人のおっさんと住む選択をした』の主役ともいえる登場人物のおっさん、「ササポン」の存在だ。
「ササポンは私にとって、父親、長老、上司のような立ち位置です。絶対的な存在である父親がこの世を去ってしまってから、父に甘えることができなかったので、酸いも甘いも知る長老のようなササポンに、悩みごとを打ち明けることができ、救われていました。本当の父親だったら打ち明けられなかったであろうことも素直に話せましたね。
赤の他人だからこそ、執着しない“つかず離れずの関係”が居心地よかったのです。家族を支えなければいけないという思いで、ずっとがむしゃらに頑張って生きてきたけれど、ササポンから、そんなに『頑張りすぎなくてもいいんだよ』ということを教わりました。
ササポンは、『こうやって若い人と住むことで、若い人の考えやはやりを知れるのが面白いんだよ』と言っています。58歳と30歳の情報交換ですね。ササポンにとっても世界が広がるようです(笑)」
自分が自分らしくいられるシェルターを、家族や恋人でもないところで持つことで救われるのだと大木は語る。
近年、シェアハウスの利用者も増えてきている。電気の点いていない真っ暗な家に帰宅し、自分が抱えている思いを誰にも話さずに1人むなしくカップラーメンをすすって眠りにつくと、その思いは成仏できないままだ。そんな生活よりも、「今日こんなことがあってムカつきました、おやすみなさい」と誰かに言えるだけで、救われるのかもしれない。
自分の人生そのものを仕事の武器に
最後に、5年後の自分を想像してもらった。
「それを考えるとドキドキしますが、会社員を辞めたときから、人生の安定を捨てているようなものだし、これからも状況が変わることで、視点が変わっていい文章が書けるかもしれないから、それもいいかな、と思います。一度全部を失って、『1からスタートです』という、ありのままの自分がメディアで拡散されていき、それに興味を持ってくださる人の方が多くなりました。人生って不思議ですよね(笑)
昔の自分だったら『年収いくらの男性をこの歳までに捕まえて――』とか計算していました(笑)。ひとりで生きることが怖いという、強迫観念があったんです。今はそこに執着しなくなりましたね。
いちばん大事なのは、自分の心が元気でいること。不安な気持ちもありますが、今を生きるしかないですからね」
最初に就いた仕事で自分の才能や天職を見つけることは、誰にだって難しい。大木のように家庭の事情もあってアイドルを始めたような、本人の本当の意思とは言い切れない道を選ぶ場合もあるだろう。
だからこその失敗や挫折という経験は自分で自分を客観視させ、次のステージで自分の本当の強みや居場所を見つけられるきっかけとなる。そこで自信をつかめれば自己を肯定でき、前向きに取り組め、結果にもつながり、さまざまな出会いを呼び込める好循環につながっていく。これは元アイドルのような特別な職業の人に限られた話ではなく、どんな立場の人にも当てはまりうる。大木亜希子は身をもって実現している。(敬称略)
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