おっさんと住む元アイドルが得た「最高の天職」

元SDN48大木亜希子、女子の共感を呼ぶ生き方

「ひと様に手塩にかけてもらい、多くの大人の協力のもと、パッケージ化されて商品として出てくるのがアイドルです。オーダーメイドの衣装を着させてもらい、プロのヘアメイクさんにメイクをしてもらい、マネジメントしてくれるマネジャーや、秋元康さんというプロデューサーがいて、とても多くの方々の支えが必要なのです。私はもともと、それを選べない素質だったのです。そこで、私は演じ切ることができませんでした」

その分、彼女は芸能界における経験を経て自らの力で動けるようになり、裏方視点で物事を見るスキルを得た。今はアイドル時代の経験を生かして、グラビア撮影のディレクションを任されることもある。裏側を見ていたからこそできる、黒子の仕事。もうマネジャーやプロデューサーもいないけれど、自分で動くことのほうに才能があったから、芸能界ではなく、今の仕事で花が開き始めたのだ。それはある種必然のことなのだろう。

「父が亡くなってから本音を言うことがずっとできませんでした。アイドルになってもいつもニコニコして自分の本音を隠しながら自己プロデュースをするという、矛盾したことをしていました」(撮影:梅谷 秀司)

アイドルという職業はうらやましがられる一方で、スキャンダラスで偏見にさらされることも少なくないが、「アイドル業は、内面が育まれる商売である」と大木は語る。

“元アイドル”という大きな十字架を背負うことが、誇りであると同時に大きなコンプレックスであった彼女は、アイドル時代の経験をどのように成仏させたらよいのかわからなかったという。しかし今は、当時の経験すべてが「これからの人生を生きるうえでの糧」となっていることに気がついたのだ。

「48という屋号を手に入れたことによって生まれた憂鬱が、今ようやく成仏し始めています。生まれ変わっても、もうアイドルになりたいとは思いませんね(笑)」

本音を言えない自分からの卒業

アイドル⇒会社員⇒フリーライターという特殊なキャリアチェンジをしていく中で、内面的にはどのように変わったのかを尋ねた。

「今までは、ありのままの自分を生きていませんでした。昔はモテることや、男ウケを意識するようなメイクやファッション、髪形を意識していました。

男の人に対しても『えー♡すごーい♡きゃー♡』という感情のない、表面上だけの言葉を返しまくっていて、それは相手に失礼なことだと反省し、そんな自分はもう卒業したいと思っていました。

でも今は『どのような自分でありたいか』を考えるようになりました。自分のために、自分が身に着けたい洋服やアクセサリーを選ぶようになり、話し方や仕事の取り組み方なども変わりました。そうなることで、自分が無理しない相手に出会えると思えるようになったのです。

今は、自分がありのままを生きれば生きるほど、そこにふさわしい人が必然的に現れるに違いないと思えますし、たとえ現れなかったとしても、それは自分がどう生きるかの問題だから相手の問題でもありません。結婚できなかったら怖いな、自分だけで収入得られるかな、とか、そんな不安が30代は付きまとうと思います。でも不安や焦りがなくなり、『私は何をしてでも生きていける』と思えるようになりました」

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