11月14日の朝、7-9月期のGDP統計が公表された。前期比で年率0.2%プラス成長。減速傾向は明らかであるとはいえ、それでも「4四半期連続のプラス」ということになった。
今回の増税局面は2014年と何が違ったのか?
中身をよくよく見ると、7-9月期実質GDPは「民間在庫変動の寄与度」が前期比-0.3%となっている。在庫投資は長い目で見ればかならずゼロになる項目だから、この分のマイナスを差し引いて考えると、夏場の景気はそれほど悪くはなかったという見方もできる。
明らかに悪かったのは外需だ。財貨サービスの純輸出の寄与度は前期比-0.2%であり、これは貿易戦争や中国経済の減速を考えると致し方ないところ。それでも今のところは、内需の伸びが外需のマイナスをかろうじてカバーしてくれているようだ。
報道のヘッドラインを見ると、「駆け込み需要で4期連続プラス成長」(NHK)と説明しているところが目立つ。つまり「7-9月期は消費税増税の駆け込みがあったからプラスだったけど、足元の10-12月期は反動が来るから相当に悪いのでは?」と疑っている様子である。
まじめな話、GDP統計は各種統計を使って作られる推計値であるから、速報値が出るのが2カ月半も後になる。今回の場合で言えば、7-9月期の結果を11月中旬になって知らされているわけで、つくづく一国の経済運営というものは、バックミラーで後方の景色だけ見ながらハンドルを握っているような、心もとないものなのである。
ただし今回の増税局面では、もっとも消費税の影響を受けそうな自動車と住宅という2つの産業が上手に立ち回った。自動車販売では、10月からの自動車税引き下げを組み合わせたこともあり、2014年のような駆け込みは起きていない。あのときは、「プリウス新型車の納車は半年待ち」などと言われ、4月1日からの増税を前に年度末のセールスが過剰に積み上がった。その後の調整には時間を要したし、2013年度の決算が上振れして2014年度が落ち込んだことも、自動車会社にとっては痛かったことだろう。
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