消費増税後の景気はどうなっているのか? 景気対策には念には念を入れた方がいい

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消費税に関する言及は確かに多い。「増税前の特需による反動で、集客が落ちている」(甲信越=家電量販店)、「消費者の購買意欲が低下している」(北海道=その他専門店)、「前回の消費税増税時よりも景気回復のタイミングは早いと思われる」(南関東=百貨店)などである。そうかと思うと、「客の半数以上を高齢者が占めているため、キャッシュレス・消費者還元事業の活用の仕方を知らない」(北海道=タクシー運転手)などという指摘もある。

その他、ラグビー・ワールドカップの効果や、韓国人観光客の減少を指摘するコメントもあって、いつもながらこの調査は味わい深いのである。

ところで地域別にみると、10月にいちばん大きな落ち込みを示したのは北陸(46.0→33.8、-12.2)であった。はて、なぜだろう?と見ると、「北陸新幹線不通の影響が非常に強く、売り上げが大幅にダウンした」(商店街)などとある。なるほど、そっちであったか。

10月調査には、台風19号の影響も色濃く影を落としている。「各種イベントも自粛傾向となり、景気は格段に悪くなっている」(甲信越=新聞販売店)、「毎週のように台風の影響があり、客の来店が少ない」(北関東=ゴルフ練習場)などとある。

前回の「東京が『世界一危ない都市』と認定されたワケ」でもお伝えした通り、自然災害による経済への影響は深刻化している。S&Pグローバル・レーティング社によれば、9月の台風15号と10月の台風19号による保険金支払額は、2兆円を超える可能性があるとのこと。すなわち、2018年に大阪を襲った台風21号と、ほぼ同規模ということになる。

財政による「あとひと押し」が必要な局面だ

こうしてみると、安倍晋三首相が11月8日の閣議で経済対策の編成を指示したことも納得である。今年度補正予算と来年度当初予算を15カ月一体で編成する、という手法で年明けの通常国会冒頭に提出する。経済対策の策定は2016年8月以来、3年ぶりのことだ。

検討される主な項目は、①災害対策、②企業・産業支援、③ポスト東京五輪対策が3本柱となる。

なかでも、台風19号による被災者の生活再建支援、水害対策を中心とする「国土強靭化計画」は喫緊の課題となるだろう。

財務省は相変わらず気乗り薄のようで、麻生太郎財務大臣も閣議後の記者会見では「今何が下方リスクかと言われると答えられる人はいない」などと答えている。確かに株価は好調で、「消費増税」も何とか乗り越えられそうな状況ではある。しかし「自然災害」や「米中貿易戦争」などの前途は楽観を許さない。日銀の金融緩和が手詰まりになっている折から、ここは財政政策による「あとひと押し」が必要な局面なのではないか。国会は「桜を見る会」騒動を続けている場合ではないと思いますぞ(本編はここで終了です。次ページでは競馬好きの筆者が週末のレースを予想します。あらかじめご了承下さい)。

次ページここからは競馬コーナー。G1「マイルCS」の勝ち馬は?
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