最新!「内部通報が多い企業」ランキングTOP100

企業の不祥事を防止する上で有効な手段の1つ

われわれは「1年間で100人に1人が通報する」環境が、通報制度が機能している目安の1つとみているが、通報1件当たりの従業員数は100人未満が100社中74社、200人未満は同じく87社だった。1件当たり100人未満、1件当たり200人未満の会社数はともに昨年調査時よりも増えている。これは通報制度がより機能するようになっている表れではないかと考える。

一方で、国税当局の査察を端緒に、役員等が社外の関係者から金品等を受領していた問題が発覚し、会長、社長が退任に追い込まれた関西電力のデータを見てみると、2017年度の内部通報件数は67件で89位にランキングされたが、同年度の従業員数は1万9243人なので、1件当たり287.2人となる。

同社は通報窓口の利用対象を2005年6月からグループ全社従業員に、2006年4月からは取引先事業者の従業員に、と拡大し、2013年9月には匿名による相談を可能にするなどの制度の機能拡大を図っているが、上述の内部通報制度が機能している職場環境の目安にはほど遠い値だ。

当該問題の調査委員会が2019年9月に公表した報告書中の再発防止策の提言で「コンプライアンス上の問題へのサポート力強化」として、問題や疑問をコンプライアンス部門へ相談することの周知が挙げられている。

その前提として、「個々人が問題事象について報告・相談できるよう、コンプライアンス相談窓口を強化し、個々人の報告や相談をきちんと受け止めることができる体制を構築する」という提言内容は、1件当たり287.2人という数字に表れる内部通報制度がうまく機能していない同社の職場環境の実態を示すものだ。

ただし、昨年も述べたが、単独従業員数を基準にすることは課題も多い。通報可能な対象者はグループ会社を含む場合もあるし、正社員以外のパートやアルバイトが含まれる場合もあるからだ。通報可能な人数が明確でないため、単独の従業員数を使って算出した値はあくまで参考データであることには気をつけていただきたい。

きちんと受け止める体制が大事

実際に内部通報される情報はコンプライアンス問題に関するものばかりでなく、窓口担当者に対する個人的な仕事の不満などの告白や投書といったものも少なくなく、社内窓口の担当者はかなりつらい思いをされているのではないだろうか。

しかしながら、関西電力のケースでは「個々人の報告をきちんと受け止められることのできる体制の構築」が挙げられているように、担当者の負担は大きいものの、社員一人ひとりが社内で気になる点を気兼ねなく通報できる職場環境が整備されているならば、何も情報の集まらない職場に比べて、収集した情報の中から不祥事等につながる問題点を把握できる可能性は高くなるはずだ。

同じく関西電力のケースでは相談(通報)窓口の強化が挙げられているが、実際には通報者の権利保護の規定があっても同じ社員が担当する社内窓口ではなかなか連絡や相談しにくいのではないだろうか。また、社内だからこそ漏れやすい情報もあるのではないだろうか。ここに掲載した100社のほとんどが社内に通報窓口を設置しているが、通報者にとっての利用しやすさと上述の社内窓口担当者の負担を考えると、IHIのように社外専門機関に窓口を一本化するというのも1つの方策かもしれない。

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