内部通報を機能させるために最も重要なのは、通報しやすいオープンな環境を整えることだ。相談を含む多くの情報が集まれば、その中から問題ある事例が出てくる可能性は高い。
多くの人が使える通報窓口を用意した会社は、多量の情報に向き合う必要が出てくる。ただ、そのことが短期的なコストになっても、問題がまだ小さいうちに対応できるといった可能性を高められるので、長期的に不祥事等が起きにくくなる。
内部通報の件数などを開示している537社
こうした考え方を基本に置き、東洋経済CSR調査で集めた「内部通報件数(相談等も含む)」をランキングとして発表している。今年のランキング対象は『CSR企業総覧(ESG編)』2017年版掲載1408社のうち内部通報の件数などを開示している537社。このうち2015年度の件数で上位100社をランキングした(『CSR企業白書』2017年版には200位まで掲載)。
1位は3年連続でセブン&アイ・ホールディングスの844件。前年705件から139件増加した。同社は持ち株会社の企業行動指針に加えて、各事業会社ごとの「行動指針のガイドライン」を整備。グループ横断の会議体「セブン&アイ企業行動部会」も置き、法令順守などの体制を強化している。
内部通報窓口は各事業会社ごとに設置。2009年9月からは国内全事業会社の従業員が利用可能なグループ共通の社外窓口も置く。幅広い層の利用で多くの情報を集め、問題の早期解決に役立てている。
2位はブランド品などを量販店向け中心に卸売りを行うドウシシャの604件(前年554件)。窓口は社内・社外共にあり、通報を受け付けている。内部通報規則には「通報者に不利益のある扱いをしないこと」を明記。件数の増加からはこの規則がきちんと守られていることがうかがえる。
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