株式投資に乗り出す現役世代が増えてきた。低金利や年金不安を背景に、5年連続で個人株主は増えている。2018年度は前年度に比べ343万人増加、5473万人となった(東京証券取引所などが2019年6月に発表した株式分布状況調査)。
要因は、ソフトバンク等の大型上場など新規上場があったこと、株式分割・売買単位の引き下げで最低投資金額が下がり、株を買いやすくなったこと、NISA(少額投資非課税制度:毎年120万円までの投資で得た収益が最長で5年間非課税になる制度)の利用者が増したことが挙げられる。
中でも、5年前、2014年にスタートしたNISAの利用者増加が目につく。金融庁がまとめたNISA口座の年代別比率によると、開始時は、約6割が60歳以上だった(2014年3月末時点)。現在は減少に転じ、30~40代が倍増の勢いだ(2019年6月末時点)。株式投資は高齢者だけのものではなくなりつつある。
この5年で個人株主の数が増えた会社はどこか
では、現役世代をはじめ、個人株主を増やした会社はどこか。東洋経済新報社は『会社四季報』大株主調査データをもとに、この5年で個人株主数が増えた会社、減った会社トップ100をまとめた。
対象は『会社四季報2019年4集・秋号』に掲載された全上場会社計3744社。単元株主数を2019年7月期まで直近1年間の本決算期末時点と、2014年同年月時点で比較した。
冒頭の株式分布状況調査でも、単元株主数の97%は個人株主であり、単元株主数の増減は、ほぼ個人株主数の増減に等しくなる(のべ人数)。
個人株主数が増えた会社の1位はオリックスだ。2019年には43.9万人で、この5年で9.4倍になった。人気を集めているのが30品以上から選べるカタログギフト「ふるさと優待」だ。3年以上の継続保有で品物がランクアップもする。好調な業績を背景に増配が続いていることも大きい。きめ細かなIR活動も株主層を広げている要因だ。
2位は株主優待が人気のイオン。2019年には30.6万人増えて73.2万人となった。100株保有すれば、店舗での買い物で3%のキャッシュバックが受けられる。保有株数に応じて4段階の割引率があり、ここ数年の業績回復、増配基調も追い風だ。3位は高配当銘柄の日産自動車。30.4万人増えて55.8万人となった。最低投資額は6.8万円(2019年10月末時点)と比較的手が届きやすいうえ、配当利回りが高い。
4位は同じく高配当銘柄のJTで25.8万人増えて、39.2万人。最低投資額はおよそ24万円(同上)で、配当利回りが高いことが魅力だ。5位はヤマダ電機で17.8万人増加し22.2万人。最低投資額はおよそ5万円(同上)と比較的低い。株主優待が魅力の銘柄だ。権利確定は年2回で、100株保有の場合、3月には1000円分、9月末には2000円分の買い物割引券がもらえる。株数の増加や長期保有で、さらに上乗せされる仕組みだ。
さらに見ると、生活に身近で株主優待の恩恵を受けやすい会社、高配当の会社が続く。きめ細かなIR活動ももちろん重要だ。
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