9月の「障害者雇用支援月間」では、国や地方自治体を中心に、障害者雇用の機運を盛り上げるため、優良企業の表彰やイベントが各地で開催された。
現在、民間企業における障害者法定雇用率は2.2%で、国や地方公共団体等は2.5%だ。2021年4月までにそれぞれ0.1%引き上げられることが決まっている。国、地方公共団体等の公的機関は、民間よりも高い雇用率が設定されている。しかし、2018年には中央省庁における大規模な障害者雇用者数の水増し問題が発覚し、障害者のみならず世間に大きな衝撃を与えた。
話題になった障害者雇用だが、現状はどうなっているのだろうか。厚生労働省によると、民間企業に雇用されている障害者は年々増加している。2018年における障害者の雇用者数は53万4770人となり、前年から3万8975人増加し、過去最高を更新した。法定雇用率には達していないが、全体の雇用率も初めて2%を上回った(2.05%)。
障害者雇用に積極的に取り組んでいる企業はどこか?
こうした統計からは、障害者雇用促進の取り組みは成果を上げているように見える。しかし、話はそう単純ではない。母数となる障害者数も増加しているためだ。同省の「生活のしづらさなどに関する調査」によると、1人が複数の障害を抱えている場合があり単純には合算できないが、障害者数は2011年に787.9万人、2016年に936.6万人と5年間で最大148.7万人増加している。これは、同期間における民間雇用者数の増加(10万8175人)を大きく上回る。
障害者数が増加している背景には、知的障害や精神障害に対する認知度の向上などがある。しかし、中央省庁の水増し問題のように、労働現場で障害者に対する理解が浸透しているとは言いがたい。実際、法定雇用率を達成している企業は半分以下(45.9%)である。
しかし、その中でも障害者雇用に積極的に取り組み、多様な人材が活躍できる場となっている企業も多くある。
そこで、今回は東洋経済『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2019年版を用いて、障害者雇用率が高い企業をランキング形式で紹介する。対象は2017年度の障害者雇用率の回答があった企業のうち、3人以上障害者を雇用している企業としている。また、『CSR企業白書』2019年版には同ランキング600社までを掲載している。
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