1位は障害者に特化した就職・転職サービスを展開するゼネラルパートナーズだ。同社は従業員数89人と小規模ながら48人(パート、契約社員を含む)を雇用している。雇用率は20.92%に上り、前年からの伸びも100位内でトップだ。また、同社は障害者雇用に関する調査・研究機関「障がい者総合研究所」や障害、LGBT等に特化したWebメディアなどを運営し、積極的な情報発信も行っている。
2位は食品トレー、弁当・惣菜容器最大手のエフピコで、雇用率は13.78%(377人)だった。特例子会社のエフピコダックスや就労支援A型事業を展開するエフピコ愛パックを中心に、使用済み容器の選別工場や折箱容器の生産工場などにおける基幹業務について、障害者を正規雇用している。また、同社は雇用機会の提供だけでなく、取引先の障害者雇用サポートなどにも取り組んでいる。
3位は独立系エンタメのエイベックスで、雇用率は7.09%(21人)だ。障害者向けにバリアフリーのサテライトオフィスを設置し、バックオフィス業務を任せる。「エイベックス・チャレンジド・アスリート」として、障害者アスリートの雇用・サポートにも取り組んでおり、障害者スポーツに特化した部署を設置し、国内外の大会、講演会、メディア露出による広報活動も展開している。
4位は工場用の搬送機器メーカーのキトーで6.92%(34人)だ。「障がい者雇用マスタープラン」(5カ年計画)を推進し、個性を重視した配属や、支援者・家族と連携した取り組みを展開している。2016年からは日本障害者スキー連盟とスポンサー契約を締結し、アルペンスキーチームのオフィシャルスポンサーとして障害者アスリートを支援している。
5位はユニクロ、ジーユーを展開するファーストリテイリングで5.62%(917人)だ(ユニクロのデータ)。同社は「1店舗1人以上の障害者を雇用」という目標を掲げ、2012年度以降は新店を除くほぼすべての国内ユニクロ店舗についてその目標を達成しているという。また、職場における問題などについては、ジョブコーチを中心に対応し、店長・地域正社員へは受け入れ研修を実施している。2013年からは精神障害者の雇用にも注力し、本社で8人の採用実績がある。
以下、6位シーエックスカーゴ5.39%(134人)、7位LITALICOで4.85%(71人)、8位は良品計画4.73%(395人)、9位はワタミ4.65%(246人)、10位はダイジェット工業4.56%(13名)と続く。
多様な人材が活躍できる環境整備が重要だ
100位内で最も雇用者数が多かったのは日本電信電話だった。特例子会社での雇用を中心に939人(NTTグループ主要8社のデータ)を雇用している。雇用者数が前回調査から最も増加したのは無印良品の良品計画で、100人増加している。同社は障害者雇用促進の取り組みを「ハートフルプロジェクト」と位置づけ、サポート体制の強化等に努めている。
「令和元年版障害者白書」によると、複数の障害を併せ持つ人もいるため、単純な合計にはならないものの、国民のおよそ7.6%が何らかの障害を抱えているという。
ただ、日本は障害者に関する基幹統計の整備が遅れており、とくに格差を把握できるようなデータが乏しい。政府は2022年度をメドに障害者統計を整備するとしているが、失った信頼を取り戻すためにも、精度の高いデータを集め、改善に生かせるかが問われる。
少子高齢化が進む日本において、障害の有無にかかわらず多様な人材が活躍できる環境の整備は、企業の成長にとって必須の取り組みとなる。障害者雇用の問題は決してひとごとではない。2020年には東京パラリンピックも控えており、今後も障害者を取り巻く環境に関する議論は続くだろう。
国、民間ともにさらなる取り組みの深化が求められている。
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