経営者の条件とは何か? おそらく自らがリーダーとして会社の使命を明確にすること、そして顧客、社員、社会、株式市場に対して約束した実績を上げ、信頼を得ることで企業を持続させることは、多くの経営者に共通して求められる条件だろう。
経営者を取り巻く環境は激変している。デジタル化とグローバル化に伴い、ビジネスモデルは短命化、世界では米中貿易摩擦に代表される、保護主義へ揺り戻す動きが広がっている。企業の設備投資は鈍り、10月からの消費増税で個人消費の減速も懸念される。
企業統治改革は一部企業では株主の声がトップ交代を招くほど進み始めた。厳しさを増す環境下で、どう経営の舵を取るか、トップの手腕が一層問われる局面を迎える。
在任中に時価総額を10倍以上に増やした経営者
9月19日(木)に発売した『会社四季報秋号』では、全上場企業の代表者を対象に、現在の役職に就任してから直近までの株式時価総額と営業利益の増加倍率を集計している。経営トップにとって、株式時価総額は株式市場からの評価、営業利益は業績から見た実績であり、いわば“トップの通信簿“をまとめた。
その結果、全社平均は株式時価総額増加倍率が1.8倍(対象3735社)、営業利益増加倍率は5.26倍(対象2568社)だった。『会社四季報秋号』の巻頭ランキングでは、直近営業利益が50億円以上の企業を対象にランキングしたが、今回はそうした条件を外してランキングしている。
すると株式時価総額を10倍以上に増やした、いわばテンバガーを達成した企業は68社あった。では、その秘密を探るとともに、今後の成長企業発掘のヒントを考えてみよう。
表がテンバガーを達成した企業68社だ。首位は北の達人コーポレーションの木下勝寿社長で、株式時価総額増加倍率は167倍に達する。同社はリクルート出身の木下社長が2002年に創業した、北海道特産品のインターネット販売会社が源流だ。
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