最新!「内部通報が多い企業」ランキングTOP100 企業の不祥事を防止する上で有効な手段の1つ

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ランキング1位は5年連続でセブン&アイ・ホールディングス。件数は1047件で前年845件に比べて202件増えた。同社では法令順守をはじめ、汚職・贈収賄防止に向けた「私的な利益を受けることの禁止」「違法な政治献金や国内公務員・外国人公務員およびこれらに準ずる者に対する贈り物・接待・金銭的利益を提供しない」などを「セブン&アイグループ企業行動指針」の中で定めている。

法令順守では、グループの事業会社ごとに「行動指針のガイドライン」を制定するとともに、専任のCSR統括部、法務部、FT委員会、各事業会社の企業行動委員会事務局に加えてグループ横断の会議体である「セブン&アイ企業行動部会」を置き、体制の強化を図っている。また、内部通報窓口を事業会社ごとに設置しており、2009年9月から国内全事業会社の従業員が利用可能なグループ共通の社外窓口も置く。

同社の群を抜く内部通報件数の多さは、こういった法令順守体制の強化と窓口の整備の下、問題の早期解決に役立てるための情報が幅広い層から集まっていることもあるといえる。

2位は明治安田生命保険で677件。法令順守に向け、専任のコンプライアンス統括部を中心に法務部と連携を取っている点も特徴だ。同社は内部通報窓口を社内・社外ともに設置。公益通報者保護法ガイドラインを参考にしており、通報・告発者の権利保護規定を制定しているなど、通報がしやすい職場環境がつくられている。

風通しのよい職場環境は、今回の調査範囲の2015年度から2017年度の3年間においては、「公取からの排除措置命令等・他」「不祥事などによる操業・営業停止」「コンプライアンスに関わる事件・事故で刑事告発」といった国内での法令等に関わる事件や「贈賄による摘発」など海外での法令違反などは一切ないという結果にも寄与しているはずだ。

不祥事を防止するための各社の取り組み

3位はイオンで654件。内部通報窓口として、「イオン行動規範110番・海外ヘルプライン」を国内外グループ会社約55万人の全従業員を対象に設置。就業規則に公益通報者の保護を規定し、通報しやすい環境をつくっている。行動規範は13カ国語に翻訳されて配布され、毎年、全従業員を対象に行動規範研修を実施する。

関係するグループ会社役職員を対象に公正取引セミナーも毎年実施している。一方、取引先には、毎年取引状況に関するアンケートの実施や取引先ホットライン設置など情報を収集する仕組みを整備。このような取り組みを通じて法令違反などの不祥事防止に努めている。

4位はファーストリテイリングで510件。前年の434件から76件増加した。同社も社内・社外に内部通報・告発窓口を設置し、内部通報者・告発者の権利保護規定も制定。窓口についてはイントラネット上に公開しているほか、従業員休憩室にポスターを掲出するなど、従業員が相談しやすい体制を整えている。

5位は今回の調査で回答を得られたホンダの386件。前年の487件からは101件減少している。同社も社内・社外に内部通報・告発窓口を設置し、内部通報者・告発者の権利保護規定も制定。窓口は匿名の通報・告発も受け付けて、適切に対応を行っているという。同社が把握している国内外での法令違反等の件数は2015年度が海外で1件、2016年度が海外で2件だったが、2017年度は0件となっている。

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