これから急成長しようとするスタートアップ企業に欲しがられ、ミスマッチを起こさないような人材というのは、今までにいろいろな企画・管理系業務に携わってきており、M&Aのような事業、財務、法務に関する総合的な知見を必要とする業務の経験がある人となります。そして何よりも自分の業務範囲を限定するのではなく、備品購入から契約書の管理まで何でもやります、という人が向いています。
これはすでに何でも経験があるというよりは、何でもやるという心構えと、ロジカルに正しいことを一つひとつ遂行していく地道さが求められます。取引先との契約ひとつ取っても、常識的に、ロジカルにおかしいことはしないことが、上場時のコンプライアンス整備の手間を減らすこととなります。
そうしますと一般的には、若い人のほうが手は動くものですし、質問者の方の36歳というのは年齢的にはぎりぎりだと言えます。また、ここで運悪くブラックやグレーの会社や、社会に対してアゲインストな会社に入ってしまうと、経歴書上、次がなかなか見つからないという事態になりますので、風評チェックはしっかりやりましょう。この年齢になってくると、知らない会社に応募するというより、人からの紹介で見込まれて入社するというのがよりよいでしょう。投資家(ベンチャーキャピタリスト)に誘われて、その投資先に入るというのもありです。
話は少し違いますが、昨今のように40歳くらいでリストラによって早期退職した場合、早めに次の職場が見つかる人は、小さくても事業の全体を見たことがあり、自分でちゃんと手が動く人です。やはり単一の業務だけで年齢を重ねた方は、職探しは難航しがちです。
年収はいったん下がる覚悟で
質問者の方は「年収アップおよびポジションのアップ」とおっしゃいますが、上場前のベンチャーに入るということは、年収的にはいったん、しゃがんで、ストックオプションなどで大きなキャッシュインを目指すこととなります。やはり短期的な年収は下がることが普通です。ポジションという意味では、会社に早く入って実績を残せば、もちろん経営陣の一員となれる道も見えてきます。
この場合はトップとの相性が、最も大きな要素となってきます。そうした意味で質問者の方にとって、この転職は人生の方向性を決める「お見合い」になることでしょう。スタートアップのマッチングイベントなどもたくさんあるので、顔を出してみてスタートアップ企業や経営者の雰囲気を知るのもいいと思います。よい経営者との出会いがあることをお祈り申し上げます。
冒頭に申し上げたサンフランシスコのイベントでは、何と言うか、インターネットやソーシャルメディアの産業化や成熟を感じました。すでに多くの雇用を生む産業なのだと感じました。大学生がやっていたようなスタートアップアクセラレーター出身の会社もすでに大きくなっていますし、スタートアップへの参加はエリートの選択肢のひとつという気がします。業界の成熟と多様性という意味で、パーティの出席者は女性も多く、東京のメンズコレクションとは様相が異なりました。
筆者は東京を愛しているので、ベイエリア、シリコンバレーといった自然豊かなところには住めませんが、こうした部分は日本の財界の「上場企業に女性役員を少なくとも1人」といった、今さら感なダサいことを言わないといけない環境から、マリッサ・メイヤー氏やシェリル・サンドバーグ氏やジャネット・イエレン議長のように、日本でもどんどん要職に女性が登用されて、おっさんまみれの同質な日本の取締役会を変えていってほしいと思います。なぜなら、その同質性ではもう戦えないのが、今の事業環境だと思うからです。新卒就活まっただ中の女子学生の方々も、「女性に優しい会社だから」という決まり文句を聞くだけでなく、しかるべきポジションに女性がいる会社に行きましょう。
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