最初の医者で決まる日本の「運不運」医療の現実 どうすれば治療格差をなくすことができるか

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最初にかかった医師の力量によって治療結果が左右されがち、という現状を変えるにはどうしたらいいか(写真:8×10/PIXTA)

先天性疾患の治療も含め13回の入院と11回の手術経験を持つヘルスケア分野のトップアナリストで、『患者目線の医療改革』を書いたみずほ証券 エクイティ調査部長の渡辺英克氏に、これまでの医療制度改革の評価と残された課題、その解決策を聞いた。

日本人は医療に大きな不満はない

──医療制度論議での論者の立場明確化というのは新機軸ですね。

何事も、当事者意識を持つこと、想像力を働かせることが大切と考えています。医療の当事者には、患者、医師、政策立案者、健康で医療保険料を負担するだけの人などがいます。治療はエビデンス(科学的根拠)に基づいて行われますが、患者によって効果は異なることがある。人生経験などを踏まえ、どういう立場での発言かを示すべきとはずっと思っていました。

──4象限図はわかりやすい。

縦軸に所得の高低、横軸に健康状態をとった図は、かなり前から講演などで使っていました。高所得で健康な人は「重税感」、低所得で健康は「ノンポリ」=無関心、高所得で病弱は「高級病室」、低所得で病弱は「社会的弱者」。1人が1つとは限らず、私はノンポリ以外を経験しています。また、健康状態と医療経験の有無のマトリックスも立場の明示に役立ちます。

本書では、混合診療禁止という今の制度を支持していますが、重篤ながん患者を身内に抱えるようになれば、今の制度は理不尽と感じるのかもしれない、と書いたところ、医療関係者から「潔い」というコメントをもらいました。

──ノンポリ以外を経験した身で医療制度をどう評価しますか。

通常、高い質、低コスト、フリーアクセスを同時に満たすのは容易ではありません。日本はフリーアクセスに近く、内視鏡やカテーテルを使う治療で高評価のうえ、乳幼児の死亡率は低く、総じて医療の質は高いと考えています。また、マクロの医療費も、75歳以上の人口が増えてくる段階にしては漸増にとどまっています。日本では、米国のオバマケアのように医療制度が選挙の争点にはなっていないことから、国民に大きな不満はないとみるべきでしょう。

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